フランス・リール出身のポストハードコア・バンド。Daitro、Aussitot Mort、Celeste、Gantz等の母国を代表するハードコア・バンドの影響下にありつつも、命を削りながらの演奏や叫びに魂が震える。本記事ではTokyo Jupiter Recordsよりリリースされた1stアルバム『L’Autre Hemisphere』について書いています。
L’Autre Hemisphere(2013)
1stフルアルバム。リリースはTokyo Jupiter Recordsより。母国フランスにはDaitro、Aussitot Mortといったポストハードコアの重要バンドが存在しますが、Errataはその系譜にあたるといえます。
切迫とした状況下に置かれた様な中での悲痛な絶叫、そして鋭いギターリフとリズムによる攻撃的なサウンド。そこに悲壮感あるトレモロ・リフ、ポストロック風のオーガニックな温かみや哀切としたメロディを効果的に組み合わせている。ポストハードコアをベースとし、耳がヒリヒリするような絶叫が忙しなく聴こえてくるために粗暴なイメージは強い。ですが、ミドルテンポを主体にした丁寧な展開に平均7分台の楽曲は支えられています。繊細でいてどことなく優しい感触も覚えたり。
冒頭を飾る#1「Tour D’Abandon」からCelesteを思わせる重厚さと攻撃性。かと思えば、細心の手つきで叙情性に気を遣っており、同郷の重鎮であるGantzやAussitot Mortにも通ずる物語性も秘めています。9分半近い#4「Dernière escale avant naufrage」では、本作で随一の美しいメロディを響かせながら、猛る感情をスパークさせる。
血を沸き立たせる激情ハードコアをぶちかます#5「Le sang des silènes」、変則的な展開で揺さぶりながらラストに急所を突く#8「L’éperdu des astres」あたりも見事。全8曲57分に及ぶ大作は、おフランスらしいハードコアのクオリティの高さを思い知らされる一枚です。