【アルバム紹介】Fleeting Joys、シューゲイザー夫婦デュオ

 2005年に活動開始した、アメリカ・カリフォルニア州サクラメント出身のシューゲイザー・デュオ。ジョン・ローリング(Vo&Gt)とロリカ(Vo&B)の夫婦で構成されてます。

 My Bloody Valentineの正当な後継者とも評されて、日本でも人気に火が付く。かの名盤『Loveless』にバリバリ影響を受けたシューゲイザー・サウンドは多くのファンを生み出しました。

 本記事は1st、2ndアルバムについて書いています。

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アルバム紹介

Despondent Transponder(2006)

   1stアルバム。全12曲約43分収録。揺れ惑う轟音フィードバック、余りに甘美なメロディ、優しくささやく様なヴォーカル。それらが奇妙な歪みをもたらしつつも、幻想的なノイズの大海へと連れ去ります。

 オープニング#1から愚直なまでに正統派なシューゲイザー。これはもうそっくりどころかもろマイブラ、このサウンドスケープから想起するのは間違いなく『Loveless』そのものです。思わずニヤけしてしまうぐらいに。

 と同時にその再現性の高さに驚く。新鮮味はそんなにないですが、物まねで片付けるには惜しい作品であるのにまちがいない。いい意味での隙があるし、とろける甘みもある。

 宅録だからこその地に着いた普遍的なメロディが染みるし、ドリーミーな浮遊感の中でサイケデリックな要素がちょっとした毒々しさをもたらしているのがおもしろい。

 桃源郷へ消えゆく#3、独特のサイケデリアのなかでドラムが異様に暴れる#4なども耳をひきます。Loveless症候群をこじらせて、自分達なりのLovelessをつくりあげる。

 うねる轟音ギターとロリカ嬢のどこまでも甘いウィスパー・ヴォイスのコンボはクセになる魅力を備えています。

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Occult Radiance(2009)

   2ndアルバム。全12曲約44分収録。本作でもその大筋に変化は無い。轟音フィードバックとロリカのウィスパー・ヴォイスという魅力的なパーツを幾重にも折り重ねていくシューゲイザー。

 酩酊と恍惚の誘いに思わずうっとり。シューゲイザーに対する信念が強い点にも惹かれます。どこか歪んだ美しさや幻想性は健在ながら、ポップさとサイケデリックさをさらに増して聴き手に迫ってくるようになりました。

 ギターのうねりやサイケ感が大きく波打ち、ゆらゆらと白昼夢の先を描いく。Rideのような瑞々しい疾走感が印象的な#1で始まるのがとても新鮮。

 ですが、浮遊感に満ちたサイケデリアがゆらりと押し寄せる#2、起伏に富んだ轟音の中でとろけるような歌声にハッとする#3といった序盤から限りなく近づいた『Loveless』から少しばかし距離を置いた感じが出ています。

 くぐもったサウンドスケープの中でロリカの甘い声が印象に残る#4、幻想的に揺らめき続ける#5、浮き上がるようなサイケな轟音に乗せられる7分超の#8、アンビエントな心象まで表現する#10など弱冠広がった間口もうれしい。こちらも十分楽しめる作品です。

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Speeding Away to Someday(2019)

 3rdアルバム。全9曲約36分収録。10年ぶりのフルアルバム。

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All Lost Eyes And Glitter(2021)

 4thアルバム。全9曲約35分収録。2人体制に戻っての製作。

シューゲイザーの特徴であるギターをベースに、80年代のシンセサイザーや60年代のメロトロンなどの新しい要素を加え、人生のユニークな時期にメランコリックな希望を生み出す楽曲を制作し、自身のスタジオでレコーディングしました。

公式Bandcampより
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プレイリスト

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