【アルバム紹介】Gang Colours『The Keychain Collection』

BROWNSWOOD RECORDINGSのボスであるジャイルス・ピーターソンが大プッシュしてデビュー。UKサウサンプトン出身のアーティスト。

The Keychain Collection(2012)

   ジャイルス・ピーターソンが推しまくっているというポスト・ダブステップの新星の1stフルアルバム。

 ジェイムス・ブレイク以降を強く思わせるような作風で、茫洋とした空間の中で重いビートが刻まれ、美しいピアノの調べと彼自身の歌声が柔らかく響きわたる。

 さらにおぼろげに揺れるシンセのフレーズ、サンプリングなども織り込みながら、ダウナーな雰囲気に包まれる中で豊かな叙事性を堅持。

 なかでもミステリアスに蠢き、彼の歌声が儚く浮かび上がってくる#3、しなやかなグルーヴの中で美しい鍵盤と歌声の響きがメロウさを引き立てていく#8辺りは、彼の特徴が生かされた佳曲に仕上がっています。

 前述したようにジェイムス・ブレイクと同様に内省的な歌にフォーカスしながらも、彼と比べるともう少しアブストラクトな印象も受けたり。とはいえ、彼の音楽はソフトで心地よい耳触りで、物悲しさの中にオーガニックな温かみや気品の良さを感じさせます。

 全曲が4分半にも満たないコンパクトさというのも聴きやすく、全10曲33分を終えても儚い余韻はいつまでも残り続ける。

 ”まるでジェイムス・ブレイクとボーズ・オブ・カナダが一緒にスタジオに入ったような音楽”という形容も納得の知的さと美しさを備えた一枚。

メインアーティスト:Gang Colours
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