”重厚なヘヴィネスと美麗シューゲイズの向こう側”というコピーがつけられた独特のサウンドを奏でる3人組のアンビエントコア・バンド。2013年7月に待望の1stアルバム『Perfect Cradle』をkilk recordsよりリリースしました。
アルバム紹介
Perfect Cradle(2013)
1stアルバム。元々はバンドの頭脳である山口昇氏(Vo,Gt,Prg)のソロ・プロジェクトとして始まった経緯もあり、本作は彼がひとりでGlaschelimを動かしていた時に作った楽曲を中心にして、全10曲を収録している。また、マスタリングをレーベル・メイトであるcellzceller先生が担当。
幕開けを飾る#1「Nuclear」からして強力です。眩惑的なシューゲイズを強く反映しながら、圧倒的なヘヴィネスが押し寄せることで生み出す幻想的な情景。インストを基本としているものの、そのサウンドからはJesuを想起させるもので大きな驚きを覚えました。
大地を捲り上げる様な重いリフとタイトなリズムに、繊細なタッチで奏でるアンビエントやエレクトロニカを密接に結びつける。華やかな煌きやキャッチーさを感じるのは、この電子音の使い方にあるといえるし、ブレイクビーツを交えたしなやかな躍動感は心地よい。揺らぎと透明感、有機的なダイナミズム、極上の浮遊感は堪らないものがある。
なかには、鼓膜が破れそうな轟音と呪術的な雰囲気に緊張感が走る#4「Drift」、しっとりとしたアンビエントでこの上ない安らぎをもたらす#5「Light On Me」といった曲も用意され、本作品では起承転結の流れを意識したかのように多彩な曲調と豊かなストーリー性が伴っています。
聴き進めるごとに絵本をめくっていく感触がありますし、時に65daysofstaticやGod Is An Astronaut辺りを思わせる味わいがあります。#8「Crystalline」からはその影響を強く感じますね。
#9「Remember The Breeze」ではレーベル・メイトである女性ヴォーカリストのükaがゲスト参加。バンドにとって新しい試みに挑むことで、”ポップ”というキーワードにまで昇華させたこの楽曲らしく、イノセントな歌声を郷愁の旋律やゴリゴリのサウンドと組み合わせたのは見事。
そのままラストを飾る表題曲#10「Perfect Cradle」へと繋がり、荘厳なファンタジーをもって本作は締めくくられます。繊細にして重厚なサウンドがもたらす刺激と興奮。全10曲48分で確固たる美学を余すことなく示したデビュー作。