【アルバム紹介】GUHTS『Regeneration』

 ニューヨーク州を拠点に活動するポストメタル系バンド4人組。GUHTSは”ガッツ”と読む。2020年のロックダウン中に結成されました。

 Bandcampには自身の説明として”アヴァンギャルド・ポストメタル・プロジェクトであり、深くエモーショナルな音楽を通して、人生よりも大きなサウンドを届ける”と記載。スラッジ~ポストメタル系の重厚なサウンドに実験精神が乗っかり、女性ヴォーカリストであるAmber Gardnerの魅惑的なパフォーマンスが惹きつける。

 本記事は2024年1月にリリースされた1stアルバム『Regeneration』について書いています。

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アルバム紹介

Regeneration(2024)

 1stアルバム。全7曲約46分収録。ヴォーカルのアンバー・ガードナーは本作について”Regeneration』は自己再生の力を象徴している。再生を通して変化は力を与え、新しい面が現れるようになる。それは勇気ある変容のプロセスです。このアルバムは人間の精神の回復力と成長する能力を体現しています“と説明しています。

 実験的なポストメタルという標榜はあるにせよ、音楽的にはCult of Luna + Swans + Battle of Miceのようなインパクトあり。

 威嚇するスラッジリフと上品なピアノを軸に進行する#1「White Noise」から精神と肉体をグラつかせる。そしてアンバー・ガードナーのジュリー・クリスマス姉御一門に属しているかの振る舞い方が魅力を高めてきます。

 彼女はしっとりとした歌から金切り声、甘いロリータな表現までを駆使し、GUHTSのヴォーカル作品としての強度を上げる。その辺りはBIG|BRAVEとは別の方向性であることを伺わせます。実際にBring The Noise UKのインタビューにおいてJulie Christmas、Gojira、Cult of Luna、PJ Harveyなどからの影響をアンバーは言及。

 『Regeneration』は実験的な7曲を通して与えられる”惑い”の中に、聴き手に対して変化の種が蒔かれます。基本軸にはポストメタル経由の重厚さを有しますが、エレガントなタッチやメロウなトーンを一定量は保持し、闇落ちと救済の相互作用を図る。

 作品はドゥームゲイズの濃霧に包まれる#2「Til Death」や本作随一の躍動感とユニークな攻撃性を有する#4「Handless Maiden」といった曲で進軍しながら、#6「Generate」では美しいトレモロの上に眩惑的な歌声が至福の一時を提供。

 10分越えのラスト曲#7「The Wounded Healer」はまるで舞台でも見ているかのような演出で激しい痛みを表現した後に、赦しを施すようなクライマックスが待ち受ける。そんな本作の歌詞については女性の物語として書かれた小説『狼と駈ける女たち』からインスピレーションを受けていることをDECIBEL MAGAZINEにて明かす。

 ポストメタルの複数にまたがる道をナビゲートしながら、自身の挑戦的なスタイルは本作で示されます。アヴァンギャルドと呼びながらも聴き手の懐に潜り込む艶めかしさがまた何とも魅力的に映る。

メインアーティスト:GUHTS
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