【アルバム紹介】Imperium Dekadenz『Procella Vadens』

ドイツのディプレッシヴ・ブラックメタル・デュオ。2004年に結成され、20年近く継続して活動中。これまでにフルアルバム全7作を発表しており、最新作は23年リリースの『Into Sorrow Evermore』。

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アルバム紹介

Procella Vadens(2010)

  3rdアルバム。全10曲約57分収録。Season of Mistへと移籍。もの悲しくダークでありながらも、神経をエグる狂気や詩的な叙情性を感じさせるブラックメタル。

 耳に突き刺さる凶暴な絶叫と時々入る疾走なんかはブラックメタル直系の禍々しさがあります。ですが、基本的には悲しみや哀切をのっぺりと広げていくトレモロとスロウ/ミドルテンポを中心に進んで行くスタイルで、少しBURZUMっぽい。

 その世界は闇というよりはジャケットのような灰色で、淡い絶望感にじりじりと犯され、陰湿な空気が身体にまとわりついてきます。激しいパートではじわじわと揺さぶりをかけて、叙情パートでは逆に即効性が高いといういびつさ。

 ピアノで厳かに始まりと終わりを飾る#1、#10は耳をひきつけるとともに作品の芸術性を物語っているし、所々に配置された緊張感あるインストナンバーも効果的に働いています。

 その中でも、特に本作では暴虐と叙情によるコントラストの妙が、とても芸術性の高い曲へと押し上げている#6″An Autumn Serenade”が白眉。

 全体通しても息を呑む起伏に富んだドラマティックな展開が最後まで続く。まるで、美しく儚く絶望を投げかけているかのような作品だ。

メインアーティスト:Imperium Dekadenz
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