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アルバム紹介
Black Earth(2011)
シカゴの4人組、krankyからリリースされたデビュー作。タイトル『Black Earth』は、バンドが創り上げた空想上の場所を示すそう。
そして、本作はそのコンセプトに沿ったように深い霧の中をゆっくりと進んでいくような感触があります。暗くサイケデリックなノイズの海の向こう側で、ミステリアスな世界観が浮かび上がる。
ゆったりとした落ち着いたリズムの上で、シューゲイズ風の厚みのあるファズ・ギターが鳴り、シンセが厳かに鳴らされてダークかつ奇妙な雰囲気を助長し、リヴァーヴのかかったおぼろげな歌が麻薬的な陶酔をもたらします。
マイブラの如し白昼夢の様なシューゲイザー、Nadjaを思わせるパワー・アンビエント/ドローンといった要素を持ち、さらには、インディー・ロックのローファイな感性も含む。
浮遊感や奥行きを丁寧に意識したハーモニーは、神経の一本一本にまで不思議な陶酔が植え付けられているような、そんな感覚を持っている。
またアコースティック・ギターから零れてくる旋律に涙腺が綻び、ギターを中心としたサイケデリックな染色も施しては、人々の内省に迫る。
時にエキゾチックに、時に牧歌的に、時に不穏に鳴るサウンド・メイキングはこのバンドならではの個性を早くも確立しており、このモノクロームの風景には世界も染まっていくことだろう。
ポチップ