【作品紹介】IRREVERSIBLE『Surface』

 2005年の結成以降、地道に活動を続けてきたアトランタのポストメタル・バンド。これまでに2009年に発表の『Light』を始め、コンスタントに作品を残す。本記事は2014年9月にリリースされた『Surface』について書いています。

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作品紹介

Surface(2014)

 EPやフルアルバム含めて本作が7作目。かつてリリースした『LIGHT』をチェックしたことがありますが、Irreveresibleもまた”Thinking Man’s Metal”型の静から動へと遷移するポストメタルを標榜しています。まさに王道中の王道。

 収録された3曲はいずれも10分以上かけたドラマティックな展開とともにカタルシスを得られるような構成。強靭なリズムとスラッジ系のダイナミズムを備えた#1「Degloving Injury」からして、強烈な内容に仕上がっています。

 耽美の研磨につぐ研磨で紡ぎだされる透明感に溢れたギターフレーズは美しく、それとは相反するように無差別級ばりの重音リフをも繰り出す。また、ドスの効いた低音咆哮もこの界隈らしいもの。さらにサンプリングやエレクトロを交えたアプローチが散聴される箇所もあります。

 ギターソロがやたらと演歌っぽい拳の入った歌のように感じられるのも惹かれる部分。#2「Side Effects Of Living」においては神秘的なヴェールを被せていくようなギターから、豪胆な重音が衝撃を与えていく。近年でいえば、Rosettaの3rdアルバム『A Determinism of Morality』のようなアトモスフェリックな感触の強い作風ですが、静と動のコントラストはなかなかのもの。

この手のリスナーを納得させる完成度を誇る作品です。異常な重みと美しい透明感が代わる代わるやってくるような#3「(Husk) Corpse Pose」も印象的な楽曲である。

 ちなみにBandcampでのフル・ストリーミングは3曲となっているが、購入してみると#4「Nuwaubian Injury」がボーナスとして追加されている。この曲では本編の3曲とは違い、羽目外して怒号のデスメタルを轟かせているので、ギャップを楽しめるのではないかと思います。

お読みいただきありがとうございました!
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