アメリカ・ジョージア州のストーナー/スラッジメタル5人組。男女ツインヴォーカル、ツインギター、ツインドラムという異形の編成から繰り広げられるサイケデリックで豪快な爆音は聴き手を未曾有の興奮へと陥れます。
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アルバム紹介
Spiral Shadow(2010)
5thアルバム。全11曲約40分収録。前作では豪胆なヘヴィネスに猪突猛進、その狭間で練りこまれるサイケデリックがアート感覚にも長けたサウンドを創り上げ、全世界のヘヴィ・ロックファンの心をつかみました。
それを踏まえて本作では獣性と速度をやや削ぎ落とし、叙情性やサイケデリック色に磨きをかけてきています。ストーナー/サザン・ロックのフレイヴァーを十二分に散りばめつつ、泣きのツインギター、トライヴァル風のツインドラムを十分に生かしながら、男女ヴォーカルが絶妙な掛け合いで情感を掻き立てていく。
バロネスの枯れた哀愁と構築美の引き継ぎ、サイケの色合いを強めたといえば想像がつくかもしれません。歌い回しやメロディ気を使うことで叙情的な感性を高めており、Dead Meadowに通ずるレトロな感触やヘナヘナとしたゆるさも効果的に用いられます。
ツインヴォーカル&ツインドラムの編成をフルに生かした豪快な一撃#1、続けざまの連撃#2がこのバンドらしいと思います。男女ヴォーカルとリズムの多様さ・饒舌さが本作でも格別。
物悲しげなアルペジオの裏でエクスペリメンタルな展開とサイケの華が咲く#3、どこかTorche辺りの晴れやかなストーナー・ポップの感触を持つ#5、プログレ的構成とストーナーの感触を携えて古の風景に向かって突き進む#9など個性的な楽曲がそろいます。後半でよりドロドロと渦を巻く展開が強調されていくのは、次への一歩を踏み出した証明。
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