【アルバム紹介】 METALLICA、ヘヴィメタルの王座

 HR/HMの王者として君臨し続けるメタリカ。スラッシュメタル四天王と言われた初期から、ヘヴィロックを主体とした91年発表の『METALLICA』が全世界で3,000万枚を超えるセールスを記録して、その地位を不動のものにしました。

 本記事は現在、1st~5th、8th~9thアルバムについて書いています。

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アルバム紹介

Kill ‘em All(1983)

 1stアルバム。全19曲約51分収録。今ではHR/HMの頂点に立つスーパー・バンドの初作は荒々しいことこの上ない。完成度を度外したかのようにスピードを追い求め、メタルらしい攻撃性を突き詰めた若者らしい血気に満ちています。時代を切り開いたオープニング#1「Hit the Lights」はその確たる証明。音質の悪さは気になるし、若者ゆえの未熟さも荒削りな楽曲から垣間見れる。だがそんなのを吹き飛ばすような猛烈な勢いとアグレッシヴな姿勢は逆に清々しさすら感じさせてくれる。初めて本作を聴いた時は電光石火の#3「Mortorbreath」で度肝を抜かれたものです。ライブでも定番となっていて、随一のキャッチーさを誇る人気曲#9「Seek and Destroy」も収録。スラッシュメタルの醍醐味っていうのは意外に2ndや3rdよりも本作にあるのかもしれないなと思わせるデビュー作。聴くものを圧倒してやろうという猛烈な気迫が伝わります。

Ride The Lightning(1984)

 2ndアルバム。約48分収録。タイトルはスティーヴン・キングの小説『ザ・スタンド』の一説に由来。スラッシュメタルという根幹は同じだとしても、前作からとてつもない大飛躍。叙情的なアコースティックパートから猛烈なスピードで突っ走るスラッシュメタルへ雪崩れ込む#1「Fight Fire With Fire」の悶絶します。冒頭のこの曲で早くも天下取りの道筋が見える。研ぎ澄まされた攻撃性とスピードを堅持しつつ、叙情性を見事にブレンド。また前作の攻撃一辺倒からは考えられない多彩な楽曲を揃えており、美しくてドラマティックなミドル・チューン#4「Fade to Black」やタイトル通りにクトゥルフ神話をモチーフにした壮大なインスト#8「The Call of Ktulu」など収録。さらに代表曲#7「Creeping Death」では血が騒ぎ、拳を振り上げたくなります。長尺の中で緩急、攻撃性と叙情のバランスを見出し、自らのスタイルを確立した傑作。

Master of Puppets(1986)

 3rdアルバム。全8曲約55分収録。スラッシュメタルというよりHR/HMの20世紀最高の作品として名高い最高傑作です。最強のオープニングナンバーであり最高のアンセム#1「Battery」が流れ出した瞬間から既に彼等の虜。激しい音に揺さぶられてアドレナリンが過剰分泌状態へ。前作で確立したスタイルをレベルアップさせ、激しさと美しさを極限まで高めた完成系といえます。ストレンジャー・シングスの影響で20年代にリバイバルヒットした#2「Master of Puppets」は#1と並ぶ代表曲。哀愁漂うバラード風の#4「Welcome Home 」はあまりにも美しく、クリフ・バートンの遺作となった#7「Orion」は冬の夜空に浮かぶオリオン座を観て製作されたインスト。8曲全てに妥協はなく、この上ないスケールの大きさと人を引き付けるドラマが存在。王者の風格を漂わせる不朽の名盤。メタリカの真髄がここにある。

…And Justice For All(1988)

    4thアルバム。全9曲約65分収録。急逝したベーシストのクリフ・バートンに代わり、ジェイソン・ニューステッドが加入。その影響からかベースの音量がやたらと小さい。音もちょっとこもり気味。そういった録音面の不満が各所から聞こえる作品であったりします。内容としてはプログレに迫る複雑な構成を目指したようで曲がさらに長尺化。その証拠に海外メディアでは”メタリカの作品中最も複雑で野心的”と評されている。また、次作で顕著になるヘヴィロックの要素を取り入れてみたり、初のミュージックビデオを制作したりと挑戦的。スピード感溢れるギターリフに幾度ものテンポテンジが絶妙な#1「Blackened」は、ここ日本では空耳アワーで2つのジャンパーを獲得したことで知られます。そしてヘヴィメタルのバンドとしてグラミー賞を初受賞した秀逸なバラード#4「One」を収録。メンバー変更があったことでバンドとして転換を迫られた1枚。

Metallica(1991)

 5thアルバム。全12曲約62分収録。通称:ブラックアルバム。バンド初のBillboard 200の1位を獲得作であり、現在までに全世界で約3,000万枚というセールスを記録したモンスター作品。プロデューサーにボブ・ロックを起用。鉛のようにずっしりと重くヘヴィなリフと脳髄を揺らすグルーヴを主体とした音楽へと変貌を遂げました。メロディは今までよりさらに洗練されて、キャッチーという言葉が浮かぶほど。速い曲はお約束どおりに数曲収録されていますが、あくまでスマートな疾走感がある印象で、ヘヴィ・ロックというイメージを崩すまでに至ってない。そのバランス感覚が90年代の新しいメタリカを象徴しています。バンド史上最大のヒット曲#1「Enter Sandman」、情感溢れる2つの美しいバラード#4「The Unforgiven」と#8「Nothing Else Matters」を収録。ジェイムスのヴォーカルがさらに説得力を増した本作は、ヘヴィ・ロック時代の到来を告げました。

Load(1996)

 6thアルバム

Reload(1997)

 7thアルバム。

St.Anger(2003)

   8thアルバム。全11曲約65分収録。本作よりベースがロバート・トゥルージロに交替。しかし、録音時にはメンバーが決まっていなかったので、ベースはプロデューサーのボブ・ロックが担当しています。本作はわたしが最初に聴いたメタリカのアルバムで、人生2番目に買った洋楽CD。賛否両論というよりは『Load』『Reload』に続いて酷評されている作品ですが、前述した思い入れがあります。端的にいえばブラック・アルバムからヘヴィロックへ傾倒していった彼等が、重さから再び”速さ”への目覚めとなった作品です。と同時にギターソロをあえて入れないとか、独特のスネアの音が鳴っている等の違いがあります。そんな本作はやはり冒頭2曲が秀逸。野性味に溢れたアグレッシヴな#1「Franctic」、刑務所で撮影されたMVが話題で00年代のメタリカ最強曲#2「St.Anger」は心を熱くさせます。ただ、グルーヴィな演奏が主体となっていく以降の曲は、インパクトがいまいち足りない。それでも、生々しい怒りのエネルギーが燃えたぎる何かをもたらすはず。

Death Magnetic(2008)

   9thアルバム。全10曲75分収録。長年連れ添ってきたボブ・ロックに別れを告げ、リック・ルービンを起用。本作についてカーク・ハメットは『…And Justice For All』の後続的作品と語る。ただ、これまでの全作品を少しずつ混ぜてひとつの形した感じに思えます。初期の頃のような荒っぽいスピード感、ブラックアルバム以降の重厚な音作り、前回物議を醸したギターソロの復活。過去から今までのメタリカの色がリフや歌メロに出ており、一部で原点回帰とも言われている点には納得いく。ベテランの味といえばそれまでかもしれませんが、保守と挑戦のいい塩梅で作品の質を保っています。約10分に及ぶ大仰なインスト#9から、凄まじい音の嵐の中に巻き込んでいくスラッシュチューンの#10の流れには興奮を覚えますが、全体的にはするめタイプのアルバムという印象が強い。

Hardwired… to Self-Destruct(2016)

 10thアルバム。

72 Seasons(2023)

 11thアルバム。

プレイリスト

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