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アルバム紹介
体温の行方(2012)
2009年に活動を開始した石川県・金沢市の轟音インストロック・デュオ(現在は3人組)。“すべてをライヴに集中させたかった”という理由でこれまで音源をリリースしてなかったですが、本作が待望の1stアルバム。
KAIKOOフェスやフジロックのルーキーステージへの出演等でもぶちかましたのを体感していますが、強烈なインストです。
核となっているのは歪みを効かせたギターと精微なドラム。それらが火花を散らすほどにぶつかり合う。マスロック風に複雑な構成を取りつつも、際立っているのはその衝動や迫力。さらには54-71やShellac辺りの硬質さや鋭利さが備わっている。
美麗なフレーズで引き寄せることもあるが、鋭い音をとにかく重ね、”愛”として放電していく。デュオ編成ですが、ほとんどの楽曲でサポートの女性キーボーディストが参加。ふわっとした柔らかさや鮮やかな彩りを硬質さが目立つサウンドに上手くミックスしています。
変幻自在のドラムを下地にジャキジャキしたギターが暴れ、キーボードが艶やかに重なるスリリングな#2や三連リフから怒涛の喧騒に巻き込んでいく#8など、耳が痺れるほどのインパクト。
SE的な#1や穏やかな凪が訪れたかのような#9を除けば、聴く者を熱狂の渦に放り込む痛快な楽曲が揃っている。彼らのライヴを体感しているとどうしても物足りない印象もありますが、未体験の人には大きな刺激のある作品です。
ポチップ