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アルバム紹介
Zirconium(2009)
90年代のエモ・バンドであるRoadside Monumentのフロントマン、Doug Lorigが結成したポストグランジ/オルタナロック・バンド。本作は2ndアルバム。全8曲約57分収録。録音は元Minus The Bearのマット・ベイルズが担当しています。
重たい音の壁が目の前に形成されていきながらも、渋い哀愁が心をくるむ。90年代の中盤~後半にかけて活躍した人のバンドだけあって、グランジやエモ、オルタナといった言葉がそこかしこに漂ってくるサウンド。重厚でうねりのあるリフと鈍行のリズムはかなりヘヴィで、グランジよりもスラッジメタルに近い感触があります。
動と静の緩急の生かし方、ツインギターによる濃淡のグラデーション、長尺な楽曲から滲み出てくる胸を撫でるかのようなストーリー性はバンドの力量を確かに物語る。70年代のサイケデリック感覚から現代のポストハードコア~ポストメタルまでもを幅広く投影。ポストグランジともいうべき起伏・緩急に富んだ構成、8曲57分という大作主義は同系のバンドでなかなか類を見ません。
10分越える#1、#3は聴き応えばっちりだし、枯れた哀愁を漂わせる#5、思いのほか疾走感のある#2も心地よい昂揚感に満たされる。そんな本作は沈みこむ重さと解放へと導くメロディが渋く同居。暗闇の中からうっすらとした鈍光を放つようなミステリアスで迫力のあるサウンドはねっとりと心にしみこんでくる。