【作品紹介】Pillar of Light『Caldera』

 アメリカ・デトロイト州を拠点に活動するドゥーム/スラッジ系5人組。Facebookページの紹介文には”重みとメランコリーに満ちた音楽”と自身を形容。

 本記事は2024年12月にリリースされた1stアルバム『Caldera』について書いています。

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作品紹介

Caldera(2024)

 1stアルバム。全7曲約55分収録。アートワークはポーランドの画家・Mariusz Lewandowskiが担当(参照:Bandcampの特集記事)。

 プレスリリースによると”『Caldera』は数年かけて作られ、現代の喪失感と不安定さを体現している。それぞれの曲は、人間の感情の奥底を巡る独自の旅であり、狂気の中に理性を、破壊の中に目的を、無益の中に知恵を見出そうと必死になる語り手の姿を追っている“と説明。

 PoLはドゥーム/スラッジを主体としているバンドで、その割合としては後者がやや優勢。スラッジメタルの威圧感とアーロン・ターナー先生寄りの咆哮を中心に曲を組み立てます。平均約8分ほどの長尺は、のっぺりとした進行と重苦しい時間帯が占めることが多い。しかしながら、重圧をなだめるようにメロディを配置し、物悲しくもウェットな質感はPallbearerを感じさせたり。#2「Leaving」にはその傾向が表れています。

 #1「Wolf to Man」や#7「Certain End」辺りはゴリゴリと潰しに来るところは来るのですが、Amenraを彷彿とさせる孤独と絶望感に耽る瞬間があります。また唯一となる3分台のインスト曲「Eden」はポストロック風味の演出が効いており、透明感と安らぎをもたらすもの。対人に強いガチムチ系センターバックと思いきや、フィードもしっかりできるタイプというか。

 #5「Infernal Gaze」の中盤ではひとマスずつ進むテンポを突き破るブラストビートを完備しており、緩急の急でたまに変化をつけることも忘れない。”重みとメランコリーに満ちた音楽”と自身で表現していますが、鉄壁のヘヴィネスの裏に息継ぎできる余地を残しているのもポイント。

 打ちひしがれる悲しみの中で吠え続ける。引きずり込まれた泥沼でもがく。進む未来が光か闇かはわかりませんが、生きていくしかないのが人間。ある種、人生の厳しい縮図が表されたような作品。

メインアーティスト:Pillar of Light
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