【アルバム紹介】SHAZNA、一世を風靡したヴィジュアル系バンド

 1993年に結成。かつてはドラム担当のメンバーがいましたが、主な活動期間はIZAM(Vocal)、A・O・I(Guitar)、NIY(Bass)のオリジナルメンバー3名で活動。97年8月リリースのデビューシングル「Melty Love」の鮮烈なヒットとIZAMの女性的なルックスで世間的に”ヴィジュアル系”という言葉を浸透させました。

 その後は2000年に活動休止。06年に活動再開するも09年に解散。2017年より新メンバー3名を加えた6人編成で再始動するなど動きを見せています。

 本記事はインディーズ期最後のミニアルバム『Promise Eve』、メジャー進出後の1stアルバム『GOLD SUN AND SILVER MOON』と2ndアルバム『PURE HEARTS』の3作品について書いています。

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アルバム紹介

Promise Eve(1997)

 インディーズ4枚目にして最後となったミニアルバム。全6曲約27分収録。入手困難となっている過去作からリメイク5曲と新曲1曲を追加しています。

 本作以前の作品は聴いたことないので比較はできません。ですが、90年代ヴィジュアル系流儀に則った曲が揃っています。

 #1「TOPAZ」からモロ『IMAGE』のLUNA SEAを思わせ、疾走感とダークさを帯びたメロディの波状攻撃。ギター・A・O・I氏のSUGIZOさんリスペクトっぷりが冴えており、鋭いエッジと透明感が同居しています。

 #3「Dizziness」や#5「Cliches」もその時代性を感じ、当時にヴィジュアル系四天王の一角を占めていたことで、自分達もブームを生み出していこうとする気概がある。

 アートワークはIZAM氏の顔面ゴリ押しスタイルが初期から定着。氏のヴォーカルは不安定なのは確かですが、メジャー以降ほど甘い歌唱ではなく中性~男性的な側面を楽曲によって使い分ける。

 代表曲#2「Melty Love」を収録していますが、メジャー資本投入前の地に足の着いたつくり。新曲#6「PEARL」は白さとキラキラさを打ち出したアップテンポなナンバー。

 全体的に録音がチープな印象は拭えませんが、SHAZNA流ロックを貫く意志は伝わります。

アーティスト:SHAZNA, その他:IZAM, その他:AOI, その他:SHAZNA, その他:奈良敏博
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GOLD SUN AND SILVER MOON(1998)

 1stフルアルバム。全12曲約59分収録。メジャーデビューシングル「Melty Love」でヴィジュアル系を主にルックス面でお茶の間に浸透させて社会現象になり、一風堂のカバー曲「すみれ September Love」も続けざまにヒット。

 勢いのままにリリースしたこの1stフルアルバムは、ミリオンセールスを記録(実際は99.9万枚らしいけど)。当時・わたしは小6~中1でリアルタイムでしたが、音楽を知り始めた少年に、ヴィジュアル系のアイコンとなったIZAM氏、そしてSHAZNAのインパクトは大き過ぎました。

 本作はIZAM氏が女形として無双しまくったことで「戦術・IZAM」を明確化して甘くポップに振り切っています。角砂糖を何個入れるの?ってぐらい糖分過剰で、メジャー資本投下による絢爛な音装飾が成され、マイルドな聴き心地。

 インディーズ期にあったヴィジュアル系ロックバンドとしてのエッジ感やダークさはなるべく排除し、暖色カラーだけ使ったラヴソングの応酬。

 とはいえ”売れ線”と思って聴いていると、ニューウェーヴ風の幻想的なアレンジだったり、ダンスビートを取り入れた打ち込みメインの曲があったり、ミクスチャーっぽい曲をやってみたりと挑戦的な余地を残しています。

 #5「Sweet Heart Memory」や#7「Magenta Story」はバンドを代表する曲と言っても過言ではなく、キャラ先行の偏見はあったにせよ聴きどころ多し。それこそ繊細なメロディラインを軸にピュアなあの気持ちにさせてくれる1枚。

PURE HEARTS(1999)

 2ndアルバム。全15曲全75分収録。既発シングル6曲(+本作からのリカット・シングルを含めると7曲)にカップリング3曲とベスト盤の様相を帯びる。

 ただ、シングル曲は全てミックス違い。そしてミッシェル・ポルナレフのカバー「シェリーに口づけ」、土屋昌巳氏の引用リメイク、浅倉大介氏の提供曲2曲を取り揃えています。

 商業ラインを維持するためにIZAM氏のキャラと人気を重視したことで、バンド感とロック感がさらに薄まってしまったのが本作。打ち込みの占める割合が増え、いうならば”IZAM with…”的な構図になってしまっているのは否めない。

 A・O・I氏が紡ぐ切ないメロラインは健在ですが、耳触りの良さに特化したマイルドな歌ものは、シロップをかけすぎて甘くし過ぎた感はある。曲によってはアイドルがやるような感じのポップスもありますし。

 99年は引き続きヴィジュアル系ブーム自体は続いていましたが、SHAZNA自体が消費され過ぎていた状況。本作は1年半ぶりのアルバムですが、その間にこれだけ立て続けに6枚もシングル出してフルアルバムとなると無理がたたるのもいたしかたない。

 それでもブームという魔法は決して長続きしませんが、SHAZNAがもたらした現象は今も語り継がれています。

どれから聴く?

SHAZNAはどれから聴けば良いの??

100万枚近い売り上げとヒットシングルを多数収録した1stフルアルバム『GOLD SUN AND SILVER MOON』がオススメです。

プレイリスト

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