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アルバム紹介
sora tob sakana(2016)
照井順政氏(ハイスイノナサ、siraph)がプロデュースを手がける、リリース当時・平均年齢14歳の4人組アイドル・グループの1stアルバム。正面切ってポストロックであります。照井氏の人脈により、実力派の演奏家たちが集結しての生演奏が基調。
怒涛のマスロックで聴き手をふるいにかける#3「広告の街」を筆頭に(下の演奏動画を参照)、ハイスイノナサを髣髴とさせる流麗でシャープなアンサンブルが冴え渡っています。
#2「夏の扉」や#4「夜空を全部」辺りは、心地よい疾走感とエレガントな音響に展開も含めて攻めの姿勢がみえますが(メロディはかなりポップ)、淡い青春の1ページを切り取ったかのような情緒がある。
もちろん、アイドル・ポップスでもあります。中心に存在するあどけなくピュアな4人の歌声が心をくすぐる。トラックは尖っていてもやっぱりポップス寄り。
ハイスイノナサでは鎌野愛さん(バンドからは脱退。でも本作にはちょっと参加してたり)の歌声を記号的&ボカロ的に使っていた印象ですが、sora tob sakanaは未完成な歌声を存分に活かしています。
キーワードにあげるノスタルジーは、それゆえに増幅している部分もあるかと。決して後ろ向きではなく、今の年齢だからこその輝き、そして大人に向かっていく前進が本作にはあります。全曲が本当にまぶしくて蒼い。
彼女達の成長に合わせてサウンド・デザインの変化は起こるでしょう。ですが、現時点でトラックの完成度は申し分ない。
成長を楽しむという側面を残しつつ、ポストロック×アイドル的な単純さではなく、音楽としてのクオリティの高さを示した1枚。