【作品紹介】Sugar Horse『The Grand Scheme of Things』

 UKブリストルのオルタナティヴ・ロック4人組。2015年から始動。2021年にデビュー作『The Live Long After』をブライトンのSmall Pond Recordsからリリース。The Quietusにて“流動的に気質を変化させ、浮遊感のあるポストメタルと極端な攻撃性の要素を併せ持つ”と評される。その後にPelagic Recordsへと移籍。

 本記事は2024年10月にリリースされた2ndアルバム『The Grand Scheme of Things』について書いています。

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作品紹介

The Grand Scheme of Things(2024)

 2ndアルバム。全9曲約60分収録。前作を聴くとスラッジメタル meets The Cureみたいな感触のある作風なんですが、本作はもっとオルタナティヴ・ロック寄りへとシフト。曲尺を4分程度に抑え、Mewを思わせる浮遊感と陶酔感を伴ったサウンドが鳴っています。

 黄昏のベースラインからスタートする表題曲#1「The Grand Scheme of Things」は、シューゲイザーの恍惚へと発展する中で艶やかな歌声が魅了。Bandcampでは”バンドのサウンドのよりメロディアスで歌に基づいた面を追求したかったのは確かだ“と説明しています。

 先行シングル#2「The Shape Of ASMR To Come」はより壮大。同曲はヴォーカリストのAshley Tubbが父を亡くしたことで得た教訓をテーマにしているそうですが、”アルバム全体が2022年に父が病気になり、その後亡くなったことについての反芻のようなものになっている(参照:Sounds Veganインタビュー)”と作品への影響を語っている

 こうしたソフトなタッチが目立つようになった一方、バンドの重たい側面が強烈なカウンターとして機能するようになっていて#4「Mulletproof」からスクリームもスラッジも解禁。先行シングルのひとつ#6「New Dead Elvis」はエレクトロニックな質感を交えてさらに混沌としていく。

 最後にとち狂う24分間の終曲#9「Space Tourist」は、歌が終わってから長すぎる約20分間が終末のノイズエンディングとして待っている。リスニングライクな部分への追及もあれど、バンドの作家性は手放していない。そのバランスで魅せる作品となっています。

メインアーティスト:Sugar Horse
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SUGAR HORSE – The Shape of ASMR to Come – Music Video
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