ロシア・モスクワのスクリーモ/ポストブラックメタル・バンド。ハードコア~ポストブラックの境界線をまたぐような荒涼としたサウンドを武器に活動。2016年リリースの『Darvo』はTokyo Jupiter Recordsから国内盤リリースされました。メンバーは本国でプロモーター活動も行っており、これまでにheaven in her arms, Aussitôt Mort, Sed Non Satiata, Suis La Luneのロシア公演を開催しています。
本記事ではアルバム2枚の感想を書いています。
Memoria(2014)
ロシア・モスクワのスクリーモ/ポストブラックメタル・バンドの1stアルバム。ポストブラックメタルと記述したのは、本人達が自称しているからですが、音楽的にいえば激情系ハードコアの感触の方が強いでしょうか。同郷のRekaの影響は当然あるだろうし、かつてはFBのトップ画像でヴォーカルがenvyのシャツを着ていたし、ハードコアの影響の方が強そう。
冷たく透明感のあるギター、それにタイトなリズムが緩急をつけて楽曲を構築していき、ドスの効いた低音咆哮から甲高い叫びまでを感情目一杯込めて表現するヴォーカルが煽ります。歌は母国語を採用。冷血なトレモロやブラックメタルっぽい加速を重ね、要所で練り上げてドラマティックに聴かせる術も心得ている感じ。
冒頭の#1「Gaap」を聴けばその実力が窺い知れるし、Reka先輩よろしくっす!な#3「Bune」や4分未満の短さながら荒涼とした激情ハードコアを轟かせる#4「Vine」、美麗ポストロックとポストブラックの正面衝突となるラストトラック#7「Amon」と充実の内容。その音楽性からheaven in her armsが頭をよぎることもあるし、もしかしたら日本人には親和性が高いバンドなのかもしれない。
Darvo(2016)
約2年ぶりとなる2作目。前作は聴いているわけですが、まさかTokyo Jupiter Recordsさんから、本作の国内盤が発売されるとは思いもしなかったです。同郷Rekaの流れを受け継ぎつつ、ハードコア~ポストブラックの境界線をまたぐような荒涼としたサウンドは本作でも特徴と言えるでしょう。トレモロやブラストビートが呼びこむ嵐、そこにドッキングする寒冷地モスクワ育ちゆえの哀愁がまた耳を引きます。また、全編ロシア語で叫び続けるヴォーカルが、前作より低音が効くようになった印象。ダークで内省的、でもあくまでハードコア的な要素の方が強いのがこのバンドらしさか。その中で#4「Haures」や#5「Andras」、#8「Malphas」においては、激速暴動の音の中に切なさと暖かみが少しばかり混じっていて、2ndにおいての進化が見られます。Deafheavenチックな#7「Aim」も強力。ロシア国内で最も有望視されているとレーベルインフォメーションに記載されてますが、そのポテンシャルはみせつけてる作品に仕上がっています。