【アルバム紹介】Unearth、剛と硬のメタルコア

 1998年に結成されたメタルコア・バンド5人組。マサチューセッツ出身という事から同郷のKillswitch EngageやShadows Fallとともにメタルコアの筆頭格として名を馳せます(マサチューセッツからMAメタルとも呼ばれます)

 2004年に発表した2ndアルバム『The Oncoming Storm』で話題を呼び、各メタルフェスへ出演を果たすようになる。ここ日本でもLOUD PARK06や単独公演で数度の来日経験があり。長いバンドの歴史においてこれまでにオリジナルアルバム8作をリリース。

 本記事は2nd~4thアルバムの3作品について書いています。

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アルバム紹介

The Oncoming Storm(2004)

 2ndアルバム。全11曲約42分収録。プロデュースは同じマサチューセッツ州のメタルコア・バンド、Killswitch Engageのアダム・デュトキエヴィッチが担当しています。

 MAメタル(マサチューセッツ・メタル)の若頭にして核弾頭であったUnearth。北欧メロディック・デスメタルからの影響濃いリフやツインリードを携え、ザクザクと刻んでは叙情的なトーンをポイントで加えます。

 しかし彼等の場合は同じMAメタルの先輩たちとは違って、ヴォーカルが咆哮主体でほぼ全編を貫くスタイルでクリーンな歌を安易に入れてない。

 北欧メロデス然とした好戦的な姿勢を保ち、メタル寄りのギターソロやメタルコアらしくブレイクダウン等を混ぜています。

 強烈にかましてくる#1「Great Dividers」や#4「Black Hearts Now Reign」、泣きのツインリードで牽引する#5「Zombie Autopilot」とバンドを語る上で欠かせない代表曲が本作にはそろう。

 #8「Endless」は1stアルバムからの再録。また可憐なインスト曲#9「Arise」は優雅にアルバムを引き立てている。

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III: In the Eyes of Fire(2006)

 3rdアルバム。全11曲約44分収録。PanteraやDeftonesを手掛けた経験があるテリー・デイトにプロデューサーを変更。ジャケットが示す鋼鉄度増し増し、勢いも切れ味も増し増し。代わりに叙情的なフレーズは控えめ。

 本作はメロデスとスラッシュメタルの鋭さで畳みかける曲が多いです。メタルコアのサビで歌って合唱を起こすなんてことは変わらずに皆無であり、だからこそ他バンドとの差別化になっています。

 #1「This Glorious Nightmare」からハイスピード運動会とブレイクダウンおしくらまんじゅうがあり、#2「Giles」でよりスラッシュメタル色を強めて攻撃的に切り刻む。

 クサさと泣きという部分では前作に分があるとはいえ、#8「So It Goes」のようにメロディアスなリフワークで期待に応える曲は準備。

 質実剛健こそ我が道的な姿勢が本作の魅力であり、それは魅せる技よりも肉弾戦でひたすら勝負するプロレスラーのよう。

The March(2008)

 4thアルバム。全10曲約44分収録。アダム・デュトキエヴィッチと再タッグを組んで制作。

 バンド初のコンセプトアルバムであり、”人類の邪悪な側面と希望に満ちた側面の両方を象徴する”というテーマを持つ。

 そのコンセプトがどう反映されているかは聴いててよくわかりませんが、方向性としては2ndアルバムのような叙情的なタッチを重視。

 イントロのピロピロギターの乱舞で始まる#1「My Will Be Done」からわかりやすくメロディアスに回帰していて、ゴリゴリ感よりも流麗という言葉の方が似合います。

 とはいえ大木を次々となぎ倒すアグレッシヴさとメタルコアのエッジはキープしていて、好戦的な咆哮型ヴォーカルもそのまま。

 ツインギターのハーモニーが昂揚感を高める#4「Grave of Opportunity」や#7「Cutman」、ダークさを打ち出した表題曲#6「The March」など聴きどころは多いです。

 突進性や重鋼鉄度は前作に軍配が上がるとはいえ、本作におけるフィジカルな肉弾戦+メロディアスの融合スタイルの方が多くのファンを獲得できそう。

 全体におけるギターソロパートは前作の50%増しとのことで、メタラーにもより好まれそうです。

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プレイリスト

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