2008年にフランスで結成されたプログレッシヴ・メタル・バンド。初期からはMeshuggahに影響を受けたDjentスタイルを志向し、攻撃性と複雑さを有したサウンドにアブストラクトな広がりを加味しているのが特徴。
この音楽性についてBandcampでは”ピンク・フロイドの創造性とメシュガーの残虐性をミックスし、デヴィン・タウンゼントのプログレッシブな魅力を添えている”と説明している。
本記事は1stアルバム『Februus』について書いています。
アルバム紹介
Februus(2011)
1stアルバム。全10曲約56分収録。いわゆるDjentと呼ばれるプログレッシヴ・メタルの複雑な構成と破壊力を有したサウンドを鳴らしているのが特徴のバンドです。
”ピンク・フロイドの創造性とメシュガーの残虐性をミックスし、デヴィン・タウンゼントのプログレッシブな魅力を添えている”とはBandcampの説明に書かれていますが、そこに加えるなら、Rosettaに通ずるポストメタル的なアンビエンス/スペーシーな拡がりがあります。
美醜・硬軟の対比がとても鮮やかに構築されており、空間・時間軸の生かし方は巧み。複雑な展開をものともしないゴリゴリのリズム隊、鋭く重いリフを振り回し、獣性剥き出しのスクリームに、サビでのクリーンヴォーカルが強力タッグを組んで聴き手を打ちのめします。
煌びやかな序盤からブルータルなサウンドがうねり畳みかけて、サビではきっちりと表現豊かに聴かせる#1「Awaken」、ISIS~Rosettaから享受したポストメタルにデス系の激烈性が加わる#2「Frost」の冒頭2曲には驚く他ありません。
アルバムを通しても知的に構築されており、短いSEを各所に挟んで深遠な演出をほどこしながら作品の奥行きを深めていくのがまた素晴らしい。
トライバルなリズムの反復から爆発する#9「Plenitude」から天国にも似た大パノラマを描く壮麗なインスト#10「Finale」でのクライマックスには息を呑む。破壊力と安息を同居するDjentは、新しい刺激的な体験となる人多し。
なお本作は2枚組となっており、DISC2では3曲35分の宇宙アンビエント紀行。本業を忘れ、ビートレスの中で美しい音の粒子が無重力の世界を紡ぎあげていく様に惹かれてる。The OceanやRosettaにも迫るこの緻密な音造りの妙。スケールが段違い。