【作品紹介】WE ARE WINTER’S BLUE AND RADIANT CHILDREN『NO MORE APOCALYPSE FATHER』

 Efrim Manuel Menuck (Godspeed You! Black Emperor, Thee Silver Mt. Zion)、Mat Ball (Big Brave)、Jonathan Downs(Ada)、Patch One(Ada)のメンバーが集結したプロジェクト。

 本記事は1stアルバム『NO MORE APOCALYPSE FATHER』について書いています。

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作品紹介

NO MORE APOCALYPSE FATHER(2024)

 1stアルバム。全6曲約44分収録。先述したメンバーが集合したならば、ぶっぎらぼうで社会風刺的な作風になるのは想像がつくところ。とはいえ各所属バンドのファンだからといって気軽に聴けるものじゃないのはらしいというか。

 アルバムは安全な場所から殺伐とした状況を目撃することをテーマにしたといい、Menuckも”私たちは恐怖が広がるのを遠くから見ているが、それを変えるために具体的なことは何もできない“と説明します。

 ギターやシンセサイザーを基盤にして空間にゆっくりと滲んでいく音像、血の気の引いた泣きそうな語り口が楽曲を支えています。てっきりインストかと思ったら、Efrim Manuel Menuckによる歌ものだったことが一番驚きましたね。その歌だって聴き手との距離を詰めるものではなく、聴衆に対して諭すようなスタイル。

 オープニングの#1「Rats and Roses」から未知の大災害に襲われた名もない都市のことを歌い、鳥のさえずりやシンセを介入させながらギターが静かなところからざわめきだす。ドローン的な音像は本作で中心になっているとはいえ、制限区域内で一定のミニマリズムを準拠しつつ、楽曲によっては所々でそこからはみ出すように大音量化を果たします。

 しかしながらカタルシスへの旅という感じはまるでなく、現状の険しさを知らせる警告のようにも捉えられる。表題曲#3は脈打つリズムから耳が爆発するんじゃないかと思うほどの轟音が押し寄せる中、”私たちは見捨てられた”と吐き出す。GY!BEでもそうですが、環境破壊や行き過ぎた資本主義、政治的な抑圧への言及は本作でも引き継がれています。

 #4「Uncloudy Days」の”THERE’S NO GOOD BUT THE GOOD WE MAKE OURSELVES = 自分たちで作り出した善以外に善はない”という詞は、ひとつの強いメッセージとして本作を象徴する。不確実な時代につき、世を問う音楽としての意義を果たしています。

メインアーティスト:WE ARE WINTER’S BLUE AND RADIANT CHILDREN
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