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アルバム紹介
White Hills(2010)
ブルックリンを拠点に活動するギター、ベースによる男女デュオ、White Hillsの2009年作。本作はOneidaのドラマーが全面参加で作品を見事に支えています。
特徴は分厚い霧のようなファズ・ギター&ベースを中心に形成していくサイケデリック・ロック。宇宙をなぞるようにかき鳴らされる重厚なリフの反復、体をもちあげるかのようなリズムの反復が快楽を呼び寄せます。
ヘナヘナとした歌声も妙に心地よいし、スペーシーなシンセも宇宙を大いに拡大しております。カヴァーしていることからもわかるが、彼等のHawkwind召還の儀式たるやほぼ完璧。
ヘヴィ・サイケデリック・スペーシー、その3つのキーワードが交わり、ベクトルはひたすら快へと向かう。またThe Headsなどともスプリット盤を出していることからもストーナー・ロック勢とリンクする部分もあります。
70年代のレトロなサイケ感と共に上昇し続ける#1、本作随一のスペース・ロック#2、ヘヴィに押しまくるリフにクラクラする#3と序盤の畳み掛けは痛快。
また、#4~#6の絶望の底辺に押し込めるような密教的雰囲気を打ち出したダウナー・チューンにも不思議と意識を持ってかれる。終末をみないグルーヴを浴びることで、ただひたすらに気持ちよくなればよいのです。
霧が晴れた世界に飛び立とうとするかのような#7での終わりもまた味わい深い。昨今、世界を騒がせているアニコレを始めとしたブルックリン勢にまるで迎合することのない、現世を解脱する圧倒的なサイケデリック・フィールド。
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