日本の音楽界に大きな衝撃を残した伝説的な5人組バンド、X JAPAN(X)。1989年の『BLUE BLOOD』、1991年の「Jealousy」といった傑作を世に送り出し、日本のみならず世界的にも数多のフォロワーを生み出した。”PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK”からヴィジュアル系の元祖ともいわれている。
1997年12月31日に解散をしたが、2007年に復活を果たしました。現在もいろいろと話題を振りまきながら、マイペース?に活動中。
以下、アルバム3作品について書いています。
アルバム紹介
VANISHING VISION(1988)
YOSHIKI氏自らが設立したExtasy Recordsからリリースされた1stフルアルバム。当時のインディーズとしては記録的なセールスをあげてオリコン・チャートにも食い込みました。
この先の興奮を約束する様なインスト#1「Dear Loser」に続いて、激震のドラマティックなスラッシュ・メタル#2「Vanishing Love」を聴いて虜になった人は多いはず。
切り裂き、激しく叩きつけるようなサウンドがとにかく強烈で、荒削りながらもジャーメン・メタルからスラッシュ~ハードコアの攻撃性/狂気性を昇華し、過激な芸術を創り上げました。
Xのカタログの中で最も勢いで捩じ伏せてやろう、という気概に満ちた作品です。全く歯止めの効かない刺々しさは、痛快でもあります。激と美を紡ぐギターの流麗なコンビネーション、見事なベースライン、怒涛のドラム、鼓膜に刺さる様な歌声と胸に訴えかける美声。5人の個の集合体が圧倒的な音の洪水となっています。
破壊力に特化した疾走曲#6「I’ll Kill You」や美旋律を伴いながら激化していく英語バージョンの#8「KURENAI」におけるインパクトは特異なものがありますし、この頃からクラシックの要素も融合させていることが伺えるバラード#7「ALIVE」も収録。
伝説の幕開けとなった衝撃の作品。
BLUE BLOOD(1989)
メジャー・デビュー後にリリースされた2ndフルアルバム。全12曲約65分収録。日本のロック史上に革命を起こし、果てには世界をも震撼させた歴史的な作品。
X JAPANで何を聴けばいいと問われれば、間違いなく本作を最初といえるぐらいです。
荒削りの初期衝動に持っていかれた前作からスケールを広げ、”PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK”という言葉を体現した過激な芸術は、本作で大きく花開きました。
フランク・マリノの「World Anthem」を原曲に、46名のフルオーケストラと共に壮大な幕開けを飾る#1「PROLOGUE」で拳にグッと力が入ります。
間髪入れずに続くX印のメタル・チューン#2「BLUE BLOOD」で稲妻のような衝撃が全身を駆け抜けていく。メジャー・シーンに乗りこんできても、「これがオレたちだ」と言わんばかりの攻撃的なサウンドとドラマ性で楽曲を彩り、過剰なまでのエモーションが迸っています。
象徴的ともいえる代表曲の#7「紅」は、今聴いてもまるで色褪せない破壊力と美が共存。語り継がれる名バラード#6「ENDLESS RAIN」では、YOSHIKI氏の美しいピアノやHIDE氏の胸が熱くなる様なギターソロ、Toshl氏の掠れた歌声が涙を誘う。
加えて、ライヴに欠かす事のできない#5「X」や#8「オルガスム」も収録しており、シャッフルを取り入れた#4「EASY FIGHT RAMBLING」や演奏陣の高い技巧を裏付ける#8「XCLAMATION」もいいスパイス。後の「Art Of Life」にも通ずる、約12分にも及ぶ大作の「ROSE OF PAIN」もまた感動的。
ここまで過激でギリギリのスリルを味わう様な感覚もあるのに、ポピュラリティも備えて日本人だからこそ生み出せるメロディや風情を備えているのも驚かされます。他のバンドには無い個の強さがあり、求心力も半端なものではない。
彼等が創り上げたヴィジュアル系だとかメタルだとかのジャンル、そして時代を超えて燦然と輝く歴史的な名盤。
Jealousy(1991)
約2年ぶりとなる3rdアルバム。全10曲約50分収録。初の海外レコーディング(ロサンゼルス)となった作品で、実は『BLUE BLOOD』よりも売れていたりします。
制作当初は、後に発売される『ART OF LIFE』等の楽曲を収録しての2枚組を予定していたとか。
初めての紅白歌合戦出場時に披露したバンド屈指の名曲#2「Silent Jealousy」を始めとして、本作もまた佳曲ぞろい。YOSHIKI氏の楽曲をメインに据えつつ、メンバー全員が作詞/作曲に参加しているので曲調もこれまでになく豊か。
バンド史上最速曲となる#7「Stab Me In The Back」から、ロックンロールな快感が襲う#3「MISCAST」や「Joker」、それにTAIJIのアコギをメインに据えた優しくも情熱的なバラード#6「Voiceless Screaming」、HIDEの多重録音によって生み出された実験的な#8「Love Replica」などが華を添え、Xらしさを残しつつも新たな領域を目指した事が伺える。
YOSHIKI氏の王道といえる感動的なバラード#10「Say Anything」もまた見事で、作品全体を通しての洗練と整合が成されたという印象は強い。前2作で感じた破滅的な衝動は薄らいだとはいえ、多彩な曲調は新しい基点となりました。
DAHLIA(1996)
4thアルバム。coming soon…