2010年に結成された東京のインストゥルメンタル・ロック4人組。初期のMogwaiやExplosions In The Sky、MONO等に影響を受けたであろうインストを軸にして、スケールの大きな音楽を展開している。
2013年10月には、カナダのポストハードコア・バンド、Milankuの全公演サポートを行いました。そして、2013年12月に1stアルバム『On The Eternal Boundary』をリリースした。
本記事はデビュー作を取り上げています。
アルバム紹介
On The Eternal Boundary(2013)
2010年の結成以降、都内を中心に精力的に活動を続けているインスト4人組の1stフルアルバム。マスタリングをKASHIWA Daisukeが担当。
丁寧に紡がれる美旋律、情熱を持って掻き鳴らされる轟音が繋ぐ昇天。まさにこの音楽は、世界を代表するインストの雄であるMogwai、Explosions In The Sky、そして日本のMONO等が切り拓いた地平を引き継いでいるものといえるでしょう。冒頭を飾る#1「Falling To The Sky」から見事に調和するツイン・ギターを中心にして、豊かな物語と明媚な風景を綴っていく。
今ではありふれたタイプのインストのポストロックであるのは確か。だが、どうしてこうも心の深い所にまで響いてくるのか。どこまでも真摯で情熱に溢れた音楽を奏でています。
息を呑むような儚い静寂から、大地を踏みしめるようにして一歩ずつゆっくりと進行を続け、その清らかな音のひとつひとつがやがて大きく渦巻き、眩い光となって興奮と感動を運ぶ。その後も作品は、着実に情熱と物語性を帯びていく。
#2「A Doom Massacres Our Hearts」では、混濁のない澄みきったギター・フレーズの反復から、豪快に世界を転覆させる轟音に飲み込まれる。
本作中で一番短い4分台と小ぶりな#3「Grave Of Memories」では、グロッケンを用いて叙情的な一面を強調されている。潔いまでにシンプルで正攻法なアプローチ。だが、そこには一切の迷いが無く、自身が信じられるものを真正面から誠実に表現しています。
そして、MONOの名曲「Halcyon」を思わせる壮大な歓喜が押し寄せる#4「Melting Mind」へ。美しいギターの調べが哀しみから救い上げ、壮大な音の波動が歓喜の瞬間を連続させるこの楽曲では、先人達にもひけを取らない物語が奏でられており、個人的にもお気に入りの1曲です。
その心地よい余韻から、エンディングを飾る#5「Faint Light」での全てを無に還すような暴力的なノイズの応酬も衝撃的。こうして本作は激動の時を経て、完結を迎える。全5曲約45分から感じさせる清新なエネルギー。温かい希望を高らかと奏でる堂々の1stアルバムがここに産み落とされました。