
UKエセックスを中心に活動する3人組。2022年から活動する。ポストメタル、ポストロック、ドウームゲイズといった性質を備えたインストゥルメンタルを軸に、奇妙で陶酔的なサウンドトラックを描き出している。
本記事は2026年1月に発表された1stアルバム『Divination Of Dreams』について書いています。
作品紹介
Divination Of Dreams(2026)

1stアルバム。全7曲約53分収録。CodespeakerやBeneath a Steel Skyを擁するレーベル、Ripcord Recordsからリリース。こちらも高頻度で取り上げるMastered by Magnus Lindberg(Cult of Luna)案件です。
バンドはFacebookページのプロフィール欄にて”暗鬱なるポストメタルの供給者が、奇妙で陶酔的なサウンドトラックを創り出す”と書いてあります。そのわりに寝つきが悪くなる重厚なポストメタルは軸足のひとつ。11分を数えるオープニング#1「In A House Of Heartbeats」からそうした傾向が表れており、アンビエントの側面を取り入れながらもスラッジ寄りのリフが激しく打ち寄せ、終盤はレーベルメイトのCodespeakerに近しい威圧を感じさせるものです。
ですが、ポストロックやドゥームゲイズといったポジション取りをすることもしばしあるインストを展開。ハイライト映えや即効性よりも時間をかけて意識をじわじわと混迷させるタイプであり、#2「Cambion」は前半Amenraから後半Pelican的な装いですし、シンセサイザーやブラックメタル寄りのトレモロを加勢させる#4「Oneiromancy for Beginners」は彼らの研究テーマである(睡眠時の)夢を想起させる効果音が取り入れられています。
EVERYTHING IS NOISEの記事によると、”デヴィッド・リンチ、ダリオ・アルジェント、ロベルト・リーネ(『カリガリ博士の館』)といった映画監督やH・P・ラヴクラフト、マーク・Z・ダニエレブスキー、クライブ・バーカーの文学作品からも強い影響を受けている。また歴史や民間伝承、夢占いといった現象も取り入れている”と説明。ホラー映画的な性質や臨床体験のような奇妙さがところどころで立ち上がってくるのは、こうした要因からでしょう。
サスペンスタッチな秒針の刻み音と医師を思わせるスピーチサンプルが挿入される#6「Drift Into Sleep…」は、背筋がぞっとする気味悪さ。そこからラストを飾る#8「….Perchance To Dream」はドゥームゲイズ寄りのうっとりする美しさもあれば、漆黒の音の壁にうなされる時間も含まれます。夢を見る時もあれば見ない時もありますし、良い夢も悪い夢もある。そんな夢の不規則性が表現されているのだとは思いますが、悪夢なのか陶酔的なのかは聴いた人のみぞ知る。
