BreachやØltenのメンバーを擁するスウェーデンとスイスのスラッジメタル3人組。2020年から始動。バンド名は北欧神話に登場する運命の女神ノルン(NORN)に由来する。友人であるMagnus Lindberg(Cult of Luna)のプロデュースのもとで重苦しいスラッジメタルを延々と展開し続ける。
本記事は2024年8月末にリリースされた2ndアルバム『Norna』について書いています。
作品紹介
NORNA(2024)
2ndアルバム。全6曲約41分収録。リリースがPelagic Records、そしてプロデューサーに友人であるMagnus Lindberg(Cult of Luna)。この布陣は当ブログで取り上げる確率が高いのですが、お墨付きがあるだけに作品は強力です。
NORNAを本作で初めて聴きましたが、スローモーションで奏でる地獄百景に耳と心が圧し潰される。重苦しいリフの反復、クリーンボイスを取り入れる気なしの野性味が強いヴォーカル、ひたすらドゥームの鈍行を続ける進行速度。基本的にはこの3点セットで押し通す殴打系スラッジです。
印象としてはヴォーカルがいた頃のYear of No Lightが近いかも(一応レーベルメイトになりますし)。バリバリのフィジカル派でありますが、時折のヴォーカル・サンプリングやシンセサイザーによる不吉な演出で暗黒を一層深めようとする。
強大なヘヴィネスを追求する一方でCult of Lunaに通ずる近未来的な雰囲気が持ち込まれる#2「For Fear of Coming」や#4「Shine by Its Own Light」、Amenraを思わせる儀式ニュアンスとUFOMAMMUTのドゥーム感覚のあるリード・シングル#3「Ghost」等は本作の強力さを物語ります。
”ハードでダークな音楽が中心だが、美しさもたくさんある。光がなければ暗闇はないので、すべてはコントラストだ。バンドとして重要なのは理解されたり、特定のサウンドを奏でたりすることではない“とはOX-FUZEのインタビューより。歌詞も光と闇の世界を掘り下げ、人類が影に隠したがる行動や感情のすべてを暴いているという(Bandcampより)
しかしながら苦痛に歪む重さは、作品通して一貫しています。多少のアンビエントやメロディによる応急処置も緊迫感の演出に過ぎない。そう感じさせるほど。ラストを飾る#7「The Sleep」は眠るというより、重圧で窒息を狙う容赦のなさ。情け?NORNAにそんなものはありませんよ。