HERETICS EP(2015)
2012年に結成。石川県金沢市を拠点に活動するポストハードコア5人組。自主企画「Kingdom」を中心に、金沢のハードコア・シーンを活性化している。こちらは2015年にリリースした全5曲約30分を収録した1st EP。バンドによるCD流通のほか、日本のポストハードコア・バンドを世界に発信しているMeatCubeLabelから、カセットでのリリース及びBandcampでリリースされている。
手っ取り早く彼等の音楽を伝えるのであれば、envy~heaven in her arms系のポストハードコアと言えます。3本のギターを駆使した情緒豊かな表現が静と動を交錯させ、ヴォーカルの試読と絶叫を使い分けて重い言葉を投げかける。3分台の曲もあれど、時間をかけてドラマティックに綴っていくのが持ち味。
#1「行く先へ手を伸ばす」から特徴を存分に活かした曲調。静と動のコントラストによる芸術、まさにそれがしっかりと表現されているのだが、みんなで一緒に叫ぶパートが組み込まれていることには驚きます。孤高という感じで収まらずに、全員で輪になるというのはバンドの大切にしていることのひとつなのかもしれない。さらにジャケットのように雪原の厳しさからポジティヴな暖かみへと向かう#2「Even I, even you」、曲中盤の透明感が際立つ#3「命の器」と曲は続く。
数々のバンドとの共演においてのフィードバックが大きいのだろうが、懐の深さやスケールの大きさなどは感心もの。#4「交わした言葉」の7分以降の激情排気量10,000ccクラスの絶叫に次ぐ絶叫には、心揺れる。ラストの#5「weltall」の悲痛さも胸が痛い。ひたむきな情熱とともに綴られる全5曲を通して、金沢を拠点に世界へと届けられるroleのエネルギーを十分に感じ取れることでしょう。今後に期待したい存在。弊サイトでは彼らにインタビューを行っています。