イタリアのハードコア・バンド、Shizune(静音-しずね)がまさかの来日でございます。かつてINFROやアメリカ勢2組との日米伊4WAY-splitをリリースしたとはいえ、どれだけの人が知ってるんだ!?という感じのバンドが日本に来ちゃうんだから驚き。招聘した方々には頭下げ続けなきゃいけないレベル。そして、いま明かされるShizuneの真実とは・・・。
この日の出演者は揃いも揃って爆音で攻める人達ばかり。しかも全て東海圏のバンドとなってます。トップを飾るNARRがポストハードコアとヒップでホップなスタイルが交じり合ったジャンクな形で仕掛けます。ひねくれた展開に耳をつんざく爆音響かせ、エモーショナルな叫びを中心に試読っぽいパートもあったり。途中でVo&Gの子がギターを置いてラップに転身して目が丸くなりましたが、それこそが彼等の自覚するスタイルなのかもしれません。
2番手のquiqui(キキ)は3人編成のハードコア。マスロック~ポストハードコアが自在にクロスしていく形の音楽で強烈でした。特にベースヴォーカルの子、大きな体から悲痛に吠えまくり(マイクを通さないことが結構あった)、ベースリフでリードしたり、MCで和やかにしたりとまさに大黒柱。途中、ベースの弦を切るぐらいに熱演し、インパクトのあるライヴを披露したと思います。今年のマスフェスに出ているということは、耳の早い方々には実力を認められているのでしょう。9曲入りで500円の自主音源「Dislocation」を購入しましたが、おもしろい内容でした。
続いてvacant。ギターヴォーカルの人がロベルト・バッジョのイタリア代表シャツ(ユニフォームではない)を着て、「オレは昔サッカーやってて、昔の夢をここにつれてきた。今は音楽で違う夢を追ってます」みたいなことを言ってフロアを湧かせていましたが(笑い混じりだったけど)、インダストリアルな質感の重く無機質なリズム隊に、ハードコア~オルタナ臭強いギターと歌がガンガン鳴り響いててカッコ良かった。彼等も音源欲しかったけど、売ってなかった・・・。
kmkmsはsleepytime trioの来日時以来1年半振りに拝見。SLAVEDRIVERを今月上旬に見たばかりですけど(The Life And Times来日名古屋公演)、SS店主のバンドをこう連続してみるのも何かの縁でしょうか。前見た時はカオティック・ハードコア的かつ勢いで押してたような記憶がある。でも今日見た印象だと、もっとオルタナ要素というかDISCHORD系の要素が入ってソリッドな切れ味が増してたかと。前3バンドを束ねるアニキ分感もあって、うねる爆音が下っ腹にかなり効きました。暴風域に入ったフロアは、ここまで全くなかったモッシュが起こって騒々しい。終盤ではmudyのギターの子がフロアに乱入して暴れ、最後は担がれて完結(笑)。ここがカオスであり、ここがStiffSlack常連の遊び場みたいな感じになってて愛がありました。
イタリアからお越しのShizuneさま。ライヴで見るとTouche Amoreっぽいハードコアで矢継ぎ早に畳み掛ける勢いがあり、叙情的なパートや泣き叫ぶヴォーカルからはRaeinからの流れを感じるようでとても良かった。だいたいの曲は1~2分程度。なので、あっという間にステージは進行していきます。ある曲では最前の客がマイクを取って一緒に叫んでいました。また曲によっては日本語詩の語りがあるのですが、そこも違和感なくフックとして機能していました。
「ちょっと日本語しゃべれます。プレイステーションで勉強したから!ファイナルファンタジー!」というVoの言葉には笑いが起きていました。時代はスピードラーニングよりもプレイステーションなのか。その彼のMCは必ず日本語で話し、積極的にフロアと距離を縮める。このフレンドリーさはラミレス新監督よりも上かもしれない(笑)。客席からは「秋葉原!」という野次も飛んでくる(彼等には「秋葉原」という曲がある)。
アンコール前にはなぜか井上陽水の「傘がない」を口ずさみ、その流れで「Notes of decay」を演奏したのはすごかった(笑)。熱い、本当に熱い。そんな30分強を力の限り駆け抜けて終わる。「日本を愛しているから、ここにいることは夢だ」と語りましたが、彼等が日本大好きをこじらせた結果、こちらもいいライヴが見れたのでとても良かったです。周りの人たちからも温かさを感じたなあ。
終演後にShizuneのメンバーに疑問だったことを聞いてみようと思うも、性格的に行けない人なんでなかなか声をかけれず。しかし、なんとか出口付近で日本語がちょっとしゃべれるギタリストを捕まえたので話を伺ってみる。なぜ秋葉原や青木ヶ原っていうタイトルがついているのか。その答えは「おもしろいから!」らしい(笑)。多分、そういうタイトルだとウケるからみたいなニュアンスだと思いますが(深い意味はないとは言ってた)。まあ、ヴォーカルに質問した方が正しい回答を得られたのかもしれません。最後に「また日本に来て!」と念を押したら「ゼッタイニホンニイキマス」と言ってたので大丈夫そう。
↑ セットリスト(知り合いがゲットして撮らせてもらいました)