【ライブ感想】2024/10/12 ANDROGYNOS -under the Red Moon-

 ”今回あえて戦争というタイトルにしました。今も世界では醜い戦争が行われています。戦争は人間がいちばんやっちゃいけないこと。当事者同士がやりあえばいいのにいつも犠牲になるのは無関係な弱い人たちです。そういう卑怯なのは嫌なので当事者同士が徹底的にやりあいました。その結果、残った感情は(お互いへの)尊敬と感謝です”

 アンコールのラスト1曲手前。キリト氏の言葉が強く心に残っています。あえて今、なぜ”戦争”という単語を使ったのか。ここに集約されていました。PIERROTを絶対にやめさせてくれないDIR EN GREYとの7年ぶりの破壊的融合。やっぱり歴史的な一夜でしたね。

 2日目となる本日は-under the Red Moon-と副題の通りにDIR EN GREYが先。PIERROTが後。蒼い月に照らされたアクロの丘育ちの自分としては、-under the Blue Moon-の前日に来るべきなのかもしれませんが、今回はこれで良かったと感じたのが結論。なぜか。それは単純にPIERROTに感動したからというのが大きいです。

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ライブ感想

DIR EN GREY

 先攻のDIR EN GREYは数多の首を地獄へ奉納する凶悪なおもてなし。「The World of Mercy」から生命を削りに来る演奏・叫び・映像が一体化しておりました。いきなり10分の曲をやる。この大事な大事な月戦争で。それがDIR。今どきのバンドならあるだろうフェスのベスト盤なんてものはない。オズフェスでもルナフェスでもそうでした。だから音も映像も有害ドゥームな「THE BLOSSOMING BEELZEBUB」も月戦争にもってこれる。

 しかしながら、ANDROGYNOSだけでしか味わえないこともあります。「T.D.F.F.」の時は虜とかピエラーとか関係ねえと煽っていました。京さんはいつもだったら地名で煽るのに、”虜”というワードで煽ったのを聴いたのは初めて。前回はアンコール前にしゃべって驚きましたが(普段MCしない)、やはり特別なんだなと実感します。

 前日に引き続き演奏した「脈」という寄り添いもありましたが、ほんのささやかなサービスでしょうか。”バンド同士じゃなくて、俺とお前らの戦争だろうがっ!!”という言葉を吐き出してラストに演奏したのは「秒「」深」。前回は「残」でしたが、今回は27年前の曲で締める。DIRにしては粋じゃないですか(といっても演奏したのはsix Ugly Version)。

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PIERROT

 30分弱のインターバルを経て、後攻のPIERROT。先に言っておくとわたしは熱心なリスナーではないのですが(メジャー3rdぐらいで止まってるし)、7年前の前回と今回をみて真っ先に思うことは”現役”じゃねえかということ。2回の復活公演しかみていませんが、空白期間があるとは思えない仕上がりです。

 それに輪をかけるのがピエラーの驚異/脅威的な一体感。そこにヴィジュアル系のマナーや華を感じます。ステージにおける教祖としてのキリト氏の立ち振る舞いは独特で、歌詞も哲学的で暗喩をよく用いている。でも曲はキャッチーでメロディアス。7年ぶりの本日の方が入り込めたのは、DIRが先に終わっていたからというのが個人的にあったかも。

 PIERROTは対照的にベスト盤みたいなセトリなのですが、「脳内モルヒネ」とか「鬼と桜」などの定番曲がきっちり聴けて良かったです。あとはPIEROTが”それでも生きていかなければ(HUMAN GATE)”に対し、DIR EN GREYが”叫び生きろ(Ranunculas)”と歌う。この感覚こそが違いですよね。だからこそ破壊的融合を体感しに来た甲斐がある。 わたしの一番好きな「神経がワレル暑い夜」はやっぱりなかったけど(苦笑)。

 最初に記述したMCに引き続き、”DIR EN GREYは世界で最もPIERROTをやめさせてくれないバンド。来年、ワンマンやります”という発表に会場がどよめく。泣き崩れるピエラーが後を絶たず。そんな次がある状態で聴く最後の「CHILD」は、みなにとって幸福だったのではないでしょうか。

 虜もピエラーも関係ない誰にとっても美しいフィナーレ。月戦争に立ちあえて、わたしも幸せでございました。これからも生き延びようと思いました。

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セットリスト

— DIR EN GREY setlist—
NEW SE
01. The World of Mercy
02. 人間を被る
03. The Devil In Me
04. T.D.F.F.
05. 凌辱の雨
06. The Perfume of Sins
07. THE BLOSSOMING BEELZEBUB
08. Ranunculus
09. 脈
10. Eddie
11. 詩踏み
12. 羅刹国(2011 Ver)
13. 秒「」深(six Ugly)

— PIERROT setlist—
SE
01. HEAVEN
02. PSYCHEDELIC LOVER
03. MAGNET HOLIC
04. HAKEN KREUZ
05. Adolf
06. ENEMY
07. 脳内モルヒネ
08. THE LAST CRY IN HADES(NOT GUILTY)
09. 鬼と桜
10. ドラキュラ
11. CREATURE
12. 蜘蛛の意図
13. MAD SKY-鋼鉄の救世主-

–Encore–
14. HUMAN GATE
15. CHILD

お読みいただきありがとうございました!
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