2015/08/13 DECAYS presents 「THE GROWTH TO DECAY」 @ 名古屋ボトムライン

 ここ最近、DIR EN GREYメンバーの課外活動が急に盛んになりました。主にアパレルとかアパレルとかだが(ドラムの人は、大御所のサポートで楽しそう)、なんとDieさんは自らギター/ヴォーカルを務めるプロジェクトを立ち上げたという。

しかもメンバーにTHE NOVEMBERSの小林さん、さらには「escape」でお馴染みのMOON CHILDのドラマーの樫山氏が参加。☆チドニーという謎の人物がメンバーにいるため(つのだ☆ひろと同じ☆族なのか?)。よくわからないプロジェクトだけれど、音源発売前に(注:1曲はiTunesでMV配信済み)早速のお披露目ツアーがあるというので向かった。

お盆休みということも手伝って、ボトムラインは満員。オフィシャル先行でチケ取ったにも関わらず、整理番号A600番付近という悲しさだったから・・・。それでも、ライヴは中央の中央付近でわりと近くで見れたから良かった。客層としては虜が大半で、FAKE?ファンも結構いた感じ。

QUORUM

 東京ではあのDo As InfinityがO.A.だったが、ここ名古屋では「QUORUM」がオープニング・アクトに登場。平均年齢22歳(ドラマーにいたっては、なんと17歳)の若手ロック・バンドであります。しかもヴォーカルは現役東大生らしく、敬礼しなきゃいけない気にさせられる(苦笑)。音楽的には、古き良きロックンロール~ハードロック、ブリティッシュ寄り。ツェッペリンとかThe Answerとかが浮かんだかな。

ヴォーカルのしゃがれた歌声が若手っぽくなく、1曲目はギターとベースとドラムがそれぞれソロ・コーナーで魅せる。演奏はしっかりしててグルーヴィ。それが渋くもあり、かっこよくもあり。ギターやベースが、フロントマンのような振る舞いでタッピングでみせる箇所が何度か。

音楽的&客層的にどうかなと思ったけど、意外と受け入れられていた印象ありますね。終演後には、物販が賑わっていたし(CD買ったらその場でサインがもらえるってのもあるが)、しっかりと成果は残せた模様。なんせこのバンド、今年のSXSWに出てるようですからね。堂々としたステージはその経験からでしょう。

VITIUM(初回生産限定盤)

 2番手に早くもsukekiyo。僕としてはHEAD PHONES PRESIDENTと強烈な惹かれ合い対バンをしてた1月30日以来で半年ぶりです。お決まりのブザーが流れると空気が変わる。ライヴで聴くとさらに民族音楽っぽさが増す「elisabeth addict」から空間を支配する。静寂を基調としたサウンドの中で京さんの歌声が響き渡る「aftermath」が濃度を高める。まさしくsukekiyoの世界観。

しかしながら、序盤でペットボトルを客席に投げ込んだ「leather field」から一変。躍動感に満ちたステージが展開される。あの微動だにしてはいけないsukekiyoコンサートは、半年の間に変貌していたようだ。続いての「dunes」でもそうだったが、以前に比べても”動”の部分が押し出されている。特に客席から手拍子が巻き起こっていたことには驚き。DIRの場合なら静がアクセントだと思うが、sukekiyoは動がアクセントになるのだろう。

サプライズとしては新曲の披露があった。妖しい展開を持つ曲調だったが、歌メロに昭和的歌謡性を感じた点は、らしいといえばらしい。そして、ラストは「focus」から「in all weathers」という流れ。sukekiyoはやはり静と情緒のバンドだなあと再認識させられる。個人的には、「in all weathers」の間奏のところで、京さんが目の前に浮かぶ何かを幾度か掴む素振りをしてたのが印象的だった。最後は「おはよう」と言い残して去る。新曲を含む7曲は、短いとはいえ濃厚。盟友の新プロジェクトに華を添えたというところでしょう。

‐‐‐setlist‐‐‐
elisabeth addict / aftermath / leather field / dunes / 新曲 / focus / in all weathers

The Lost Generation

 3番手にはFAKE?が登場。KEN LLOYD(vo)が動かすラウド系プロジェクトである。申し訳ないが、INORAN先生がいた時代ですら、まともに音源聴いてません(汗)。しかし、変なガスマスクつけて登場したKEN氏(1曲目終わったらマスク取るけど)を中心にした、ヘヴィ&グルーヴィなサウンドがえらく強烈。曲知らなくても、全然ノせてくれましたね。それと出演者の中で暴れるのであれば、彼等しかいないので、センター付近はわりと大きなピットができていて運動会開催。モッシュッシューな人たち、結構いて楽しそうだった。

「ライヴ見て気に入った人たちいたら、iTunesで最新アルバムが600円で売ってますんで、帰りの電車代は歩いて浮かせて、買ってよ!」みたいなこと言ってたけど、ライヴ後にiTunes Storeで確認したら、本当に600円で売ってた(笑)。いや、カッコ良かったですよ。

 そして、お目当てのDECAYSです。フードを被ってステージに登場する姿なんかは、Dieさんらしいといえばそうでしょう。しかし、自身がバンドを率いてギターヴォーカルとして歌っている姿は、新鮮そのもの。これだけでもチケット代ぐらいの価値あるはず。

しかし、不思議なバンドだ。単なるDIR EN GREYとTHE NOVEMBERSの人たちが組んだアウトプットっていう感じじゃない。もちろんそうでなければ、意味が無いわけですが。1曲目はシューゲイザーっぽいサウンドを展開、2曲目は一昔前のプログラミング音が追加された四つ打ちロック、3曲目はダウナーな曲調と表情は様々に変わる。ヴォーカルに関しては、Dieさんと小林さんが交互にメインはったり、ツインになったりと曲によって変化する形。でも、☆チドニーもマークパンサー的にいろんなところで入ってきます(笑)。

ちなみにDieさんはこちらでは、ストラトギターを仕様。。そして、やっぱり謎なのは、☆チドニー氏(☆がいるのかいらないのかが未だによくわからない)。上手に位置する彼はわりと重要な存在のようで、MAC2台を並べて、キーボードを弾き、先導役として客席を煽る。DJ LOVEとDJ KOOを組み合わせたような存在感が彼からは感じ取れた・・・気がする。

ノベンバの小林さんは、ステージで諸先輩方に遠慮気味だったかな。控えめというか(といってもノイジーなサウンドは彼が中心だったが)。しかし、彼とDieさんが双頭のような形でバンドをやっているのが不思議。時代はどんどん新しくなっている。

4曲目に配信済みの「secret mode」。周知の曲であることも手伝って、DECAYSのライヴの中では一番盛り上がった。ストリングスの音が入ってたロッキンな5曲目を終えると、Dieさんが「最後の曲です」と口にして本編ラストの曲へ。これがまたV系文脈のクリーンギターを配しつつ、感情がピークに達するサビでヘヴィなサウンドが押し寄せるもので、僕としてはこの曲が一番印象に残っている。激情やポスト系をキーワードにあげたくなる楽曲だったかなと。しかも終わりでは重厚なセッション?が繰り広げられて、タダでは終わらなかったのが余計に強烈である。

さらには主催者らしく、アンコールあり。ここでDieさんのMCがようやく入る。「DECAYSの初ライヴを考えてる時がちょうどDIRのツアー中で、京くんに相談したら一緒にライヴやろう。どうせならツアーやろう。」と逆提案された心温まるエピソードを話してくれた。

そして、最終曲。事前に本人がポップ、デスメタル云々と話してたけど、蓋を開ければDECAYS流のThe Pains of Being Pure at Heartみたいな爽やかギターロックで驚かされる。さらにサビでベースのGと☆チドニーがメインで歌う謎展開。アンタらが歌うんかい!とみんなつっこみたくなったと思うが、チドニーがやたら歌がうまいのでつっこめず、余計に盛り上がったという(笑)。演奏後は中央でギターを掲げて歓声に応えたり、とびっきりのDieスマイルをみせたりと充実感をにじませる。しかし、その後ろでは、小林さんがはけるタイミングがわからずに困っていたのだった(苦笑)

sukekiyoと比べると、DECAYSはわかりやすいバンドにはなるのかなあと感じましたね。おそらくリリースがあると思うので楽しみに待ちたいところ。それと、DIR EN GREYのメンバーが各々のバンドを立ち上げて、いろいろなシーンと繋げていく役割をやってくれているのも嬉しい。これがDIRの方にもいい形で作用していけば理想ですね。

お読みいただきありがとうございました!
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