「此処が真実だ」と刻みつけたライヴでした。06年に海外進出を果たし、世界的に活躍するようになった彼等が08年に放った7thアルバム『UROBOROS』は、最高傑作と言われるほどに評価が高い作品です。複雑怪奇な展開と中東の音色を取り入れ、痛みを徹底的に表現する。そしてヴォーカルの歌唱スタイルの豊富さです。
京さん自身でも「DIR EN GREY PRAYERS BOOK」でUROBOROSに自身のスタイルを詰め込んだと言うほど。それまでの11年を経て、5thアルバム『Withering to death.』を超えてさらなる深い領域へと歩み、ひとつの集大成を示しています。改めて「自分たちらしさ」を確立した作品でしょう。
そんな作品を据えたライヴ。初日は「SA BIR」から「VINUSHKA」の流れで鳥肌モノの衝撃に襲われるスタート。全体的に初日ゆえの固さはあったにせよ、改めて今向き合う「UROBOROS」を表現し、聴衆に突きつけていました。思わず聴き入ってしまう「GLASS SKIN」から、ようやくの『ARCHE』曲である「Behind a vacant image」の選曲は絶妙。驚かされたのが「INCONVENIENT IDEAL」で、荘厳なオルガンの音色が入ったアンプラグドバージョンから原曲に繋げていったのが見事でした。曲にしてもToshiyaさんのコーラスから、京さんのハイトーンで絶唱する終盤に心動かされる事態。まさかライヴでここまで化けるとは。
アンコールでは、初っ端にアコギをセットして誰もが「我、闇とて・・・」を演奏する・・・と思ったところで久しぶりの「空谷の跫音」。僕としては杉様ヴァイオリン入りのルナフェス以来に聴いたし、かなり驚きの選曲でしたが、美しい余韻に浸れて良かったですね。ラストはブルータルな「冷血なりせば」で大炎上の締めくくり。あれ、でも新曲は演らないのかよ。
SOLD OUTとなった2日目は「BUGABOO」から。最初の方で『ARCHE』からミドルテンポ寄りの「咀嚼」と「禍夜想」を披露し、唄もの要素を濃い目に。そして、昨日も印象的だった「VINUSHKA」と「INCONVENIENT IDEAL」を並べ、壮大さに拍車をかけて贅沢な時間を演出します。でも、それまでの雰囲気をぶっ飛ばすようにアクセルを全開にし、「凱歌、沈黙が眠る頃」~「冷血なりせば」~「Revelation of mankind」と向こう見ずの激走をもみせる。正直、この日1番熱い流れを感じました。
前日と同様にアンコールの1曲目では、アコギがセットされ今日こそ「我、闇とて・・・」を・・・あれ・・・演らない。えっ、マジかよ状態。両日参戦の人からしたら??という状況だったと思います(笑)。封印、それともラストの国際フォーラムだけとかなんでしょうか。そんな本日の締めくくりの曲は「詩踏み」。前日は本編ラストに置いてましたが、だんだんこの曲が締めの位置に入ってくるのかなあと予感させました。実際に全体を巻き込んでひとつになっていく勢いとパワーが、今まで以上に強烈でしたね。
両日で『UROBOROS』から披露した曲は同じ(Hydra666は『MACABRE』扱いだと思うから演らないと思ってたが、我闇は謎)。これは2DAYS公演では少し曲を入れ替えていた「VULGAR」「DUM SPIRO SPERO」「鬼葬」ツアーと違う。そして、新曲を演ってないのも気になりました。過去のアルバムを基準にしたツアーだけど、未来を見せたいと言ってただけに残念でしたね。時間はなかったと思いますが。次の『MARROW OF A BONE』のときは期待したいところ。
『UROBOROS』の構築された世界が、『ARCHE』と混ざることで奥行きとメロディが補完されている感じがしたのが良かったな。あとアルバムごとにメンバー同士の距離感が変わってくるのがおもしろい。『鬼葬』は幻かと思うぐらい、やっぱり『UROBOROS』はカッチリしているんだなあと(笑)。
それにしても悪天候が過ぎた14日は大変でしたよ。なだらかな丘の上じゃないから、ゆるやかに雪がふらなかったので、トンネルを抜けなくても雪国のような景色が広がっていました。降りしきる雪のせいで会場にたどりつくのも大変だったし、帰りも大変だったし、外で長時間待つのもしんどいものがありました(苦笑)。『UROBOROS』にふさわしい雪が降りしきった日として忘れなさそうです。
2017/01/13
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2017/01/14
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