【アルバム紹介】Lightning Bolt『Earthly Delights』混沌爆音乱舞喧騒の浮世。

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Earthly Delights(2008)

 アメリカ一小さな州・ロードアイランド・プロヴィデンス出身のベース&ドラムのノイズハードコアデュオの2009年発表の5作目。これがまた2人編成だとは思えない、混沌爆音乱舞喧騒の浮世。

 Hellaばりに変質獰猛に乱れ打たれる超絶ドラミング、歪みまくりのファズを主にしながらもギター代わりに美旋律を奏でたりもするベースが野蛮にぶつかり合いながら、混沌まみれの轟音となって襲い掛かってくる。基本的にはそんな豪快爆音インスト。

 その中で奇怪に揺れ惑っている唄やノイズ攻撃など、異質な側面もみせつける。けれどもハイパーな音圧と本能剥き出しの暴力性からは、肉体派という印象がめちゃくちゃ強い。曲からは、豪快で勢い任せな印象あれど、アヴァンギャルな実験性やハードコア譲りの過激な面が主張されており、痺れるような興奮に包まれてしまう。

 また、ただ激しいだけではなく空間を揺らぐ浮遊感や斜めから見下ろしたようなポップ性、スペーシーな空間装飾技術も備えており、知的な表現力と引出しの多さは予想以上。その辺りはボアアダムスなどを始めとした多様なルーツとバンドの確かな演奏力に裏打ちされている。それでもやっぱり、ザラついた爆音と獰猛にうねりをあげながら爆走する姿勢がとかくかっこいい。

 #1、#2のド頭2曲で壮絶な爆音に痺れ、ややトランシーな感覚に陥る中盤で快楽の蜜を吸って脳内にお花畑を咲かせ、スラッシュメタルと荒々しいノイズが正面衝突する#8、超重量級のリズムと圧迫感で12分をかけて限界を突き破るラスト#9と妙に大仰な流れも素晴らしい。

 肉体や創造力の限界を尽くす、未曾有の混沌世界。臨界点を越えた爆音の洗礼。ソニックユースを始めとしてリスペクトの声が多く聞こえてくるのも納得である。

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