1998年に結成されて2010年まで活動した、自称はみだし系のプログレシッヴ・ロック・バンド。超絶的なテクニックを武器に奏でられる音の嵐。ライブでは音と合わせて鮮やかな映像とをコラボレーションさせ、まさに五感で感じる場を作り上げます。
解散までに2枚のフルアルバムをリリース。06年に発表した『殻』は王手プログレラジオのauralmoonというところで2007年第16位にランクイン。日本よりも世界での方が知名度は高いかもしれない。その証拠に07年には世界的なプログレフェス「BajaProg」「ProgDay」にも出演し、”ロックだぜ!””と”お~いお茶”の心を世界に伝えている。
本記事は2枚のフルアルバムについて書いたものです。
アルバム紹介
運命の輪(2003)
1stアルバム。全8曲61分収録。わたしは#1「プリーズ!」をyoutubeで見て、ギター・ベース・フルートのユニゾンに度肝を抜かれ・・・と言いたいところですが、それよりも複雑な演奏を脇目に弁当をノリノリで食べるパフォーマンスが引っ掛かった点です。
プログレの気質と構築性を誇りながら、ロックへの強いアティテュード、余裕を持ってユーモアをかますようなセンスとテクニック、シンフォニック風味な味付け。
一瞬の気も抜けないスリリングな展開で臨場感をかもし出していて、楽曲の表情はこれでもかというぐらいに豊かです。何といっても最大の武器は幽玄なフルート。言葉を代弁するように歌うその様は、他バンドとの差別化に繋がっています。
10分を越える長尺な楽曲を3曲(#2,#5,#7)収録し、FOCUSのカバー#8「Hocus Pocus」でプログレッシャー達の心をつかむ。世界流通していないのにも関わらず海外のファンから絶賛された1作。
殻(2006)
2ndアルバム。全6曲60分収録。音楽性はさらに混沌としており、長尺で複雑化した楽曲が多くなっています。
前作の「プリーズ!」のように一撃必殺の曲こそ無し。起伏豊かでドラマティックに仕上げ、エキゾチックなプログレともいえそうな内容。
バンドの花形となった幽玄なフルートが相変わらず美しく楽曲を彩り、ギターやベース、ドラムはさらに強靭でスリリング。70年代のプログレ・サウンドを基本軸に、ハードロックやヘヴィネス、ジャズといったサウンドも随所に織り込んでいます。
音符の華が咲き乱れる前作の再録である#1「CRISIS」、騒擾と静謐が生み出す世界に酔いしれる#5「殻」という15分を越える両輪が本作の白眉。驚愕・興奮・感動のプログレ・シアター。
それでも彼等の合言葉である『ロックだぜ』を叫ばずにはいられません。ちなみに#3「すっげー深い穴~」はかつて日本で一番長い曲名の楽曲で180字を超えています。その型破りとユーモアが変わらずに強烈です。