【アルバム紹介】Amesoeurs、過剰なドラマ性と儚い美

 AlcestのNeige、Les DiscretsのFursy Teyssierを擁したフレンチ・ポストブラックメタル4人組。”アメスール”と読む。

 Alcest並びに一時期Les Discretsでドラムを叩くことになるWinterhalterが07年に加入。2009年に1stアルバムにして最終作となる『Amesoeurs』を発表して解散。2004年から短い活動期間でした。理由は”内部対立とバンドの将来についての異なる視点”があったためだとされている。

 本記事では同フルアルバムについて書いています。

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アルバム紹介

Amesoeurs(2009)

   1stアルバムにして最終作。全11曲約55分収録。もともとは”産業時代と現代文明の暗黒面を反映した音楽を作ること”を目的にバンドは結成されている。

 AmesoeursもAlcestと同じくシューゲイザーと郷愁を主成分にし、ブラックメタルを新たな切り口から表現。人間の内に積み重なった闇を解きほぐすかのような音楽となっています。

 公式Bandcampの説明文には、JOY DIVISION、初期CURE、DEPECHE MODEなどの影響を受けたとあります。実際にAlcestやLes Discresよりも仄暗く、鬱々としたものが渦巻いている感じ。

 全編に渡って薄闇のようなトーンで覆われている印象でしょうか。真っ直ぐに胸を打つメランコリーと荒涼としたノイズギターが入り混じり、それでもなお神秘的な美しさが漂う。儚いものを尊く思えるような感覚があります。

 リリカルなアルペジオや美しいフレージングによって琴線を鷲づかみ。そして、ほどんどの曲でヴォーカルを務める女性ヴォーカリストであるAudrey Sの歌が切なさをさらに引き立てます。バンドの核心にあるのは壊れそうなぐらいの儚い美。

 しかしながらNeigeによるBurzumのごとき金切り絶叫、強烈なノイズに意表をつく激走などが登場。穏やかな情景から悲鳴があがるほどブラックメタルによる崩しが本作には存在する。それこそが過剰なドラマ性に満ちている理由になっています。

現代という時代の万華鏡のようなビジョン。Amesoeursはこの悲しくメタリックな世紀の子供たちであり、現代の都市化された世界の音楽的メタファーである。

公式Bandcampより
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