【アルバム紹介】Huldra、耽美系ポストメタル一大絵巻

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Monuments, Monoliths(2013)

 カナダ・ソルトレイクシティの5人組による1stアルバム。2011年に発表した5曲入りEP『Signals From the Void』も強烈でしたが、ここにきて大いに発展を遂げた耽美系ポストメタル一大絵巻を完成させてきました。

 11曲77分にも及ぶ大作となった本作。大きな影響を受けたというISIS(the Band)やCult Of Lunaを彷彿とさせる静と動の壮絶なコントラストを核に、大海の如きスケールで聴き手を圧倒してきます。AmenraやOmega Massifにも匹敵する重量級のリフや地を揺るがすリズムが轟き、狂獣のごとき低音咆哮による猛威。さらには上品でエレガントな鍵盤の旋律が豊かなリリシズムを添えていく。

 アンビエントやポストクラシカルの透明感と優美さから、スラッジ/ドゥームの黒々しい重厚さで大きな落差を生み出しており、プログレッシヴともいうべき複雑な構成の中で極限の激と美の結晶化に成功。ゆったりとカタルシスへと向かい、天地を揺るがすほどの大爆発を見せる#4「Ursidae」から漆黒のデス/ドゥームが美麗さを加えていく#5「Thousands of Eyes」という流れは、Huldraが凝縮したひとつのハイライト。

 クラシック風の清冽な鍵盤からポストメタルの巨大なグルーヴに巻き込んでいく#7「As Above,So Below」や穏やかな美しさ持つ#9「Monoliths」と後半の楽曲では、メランコリックな色調がより深まっていく。”耽美”という印象を強く受けるのは、作品を通してのキーボードの活躍によるところが大きい。それに慟哭系のメロデス勢にも通ずる泣きが感じられる点も惹かれる要素のひとつです。

 偉大な先人達のエッセンスを突き詰め、徹底的に練り上げることで、万物を蹂躙する重厚な音壁と清らかな叙情性、そして劇的なストーリー展開を獲得するに至った。こちらには女性コーラスは無いけれども、ベルギーの若手ポストメタルのGrown Belowと近しい感覚を持っています。締めくくりの#11「The City In The Sky」は、静謐なる美しい一時から圧巻の轟音ドラマを繰り広げる名曲に仕上がっており、怒涛のクライマックスは強烈。2013年のポストメタルの幕開けを飾るにふさわしい77分の大作。

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