【アルバム紹介】Red『Innocence & Instinct』

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アルバム紹介

Innocence & Instinct(2009)

 日本での知名度はまだまだながら、本国アメリカでは既に自らの人気を確かにしつつあるバンドがいる。それが今回取り上げるRed(レッド)という4人組バンド。

 ”リンキン・パーク meets エヴァネッセンス”と一部で評されることもある彼等は、ヘヴィロックを軸にしながらも大胆にストリングスを導入したエモーショナルなサウンドで支持を集めている。

 Redは2004年に結成され、そこからわずか2年後の2006年にデビュー作『End Of Silence』を発表。この作品で早くも人気に火が点き、全米で40万枚を越えるセールスを記録。その勢いで第49回グラミー賞にて「ベスト・ロック・ゴスペル・アルバム賞」にもノミネートされるなど成功しています。その裏では2年間で500本近くこなしたという地道なライブ活動が幹としてある。

 本作は前作の成功がフロックではないことを証明する力強い作品です。ボディブローのように効く重厚なサウンド、その上を流れる哀愁漂うメロディラインと強面に似合わない艶やかな歌声で心のど真ん中を射抜く。

 ヘヴィな手触りを基調とし、外に激しく爆発するような危険さを持ちつつも、楽曲の中で強く押し出されているのは悲壮感やもの悲しさからくる泣きの部分。ただ、切なくて。ただ、儚くて。どうしようもないほど胸が締め付けられてしまう。その一番の担い手であるヴォーカルは聴き手に対して表現豊かに訴えかけてくるものがあります。

 ほぼ全編に渡ってストリングスを導入しており、ピアノの繊細な旋律やヴァイオリンの荘厳な響きがよりドラマティックなスケール感を大きくしている。余計にお涙頂戴の演出が施されてます。白眉と思える#2「Fight Inside」、#3「Death of Me」でみせる激情的ながらも繊細に胸に響くその歌声はヤバイぐらいに心貫かれる。

 さらにダンテの『神曲』に大きな影響を受け、人間の持つ二面性を主題に据えた事も奥行き深さを助長しており、非常に濃密でストーリー性の高い作品となっている。慟哭のメロディと激しいサウンドが掛け合わさることで生まれる美しいハーモニーの前に自分はあっけなく魅了されてしまいました。

 DURAN DURANのカヴァーだという#9「Ordinally World」のキメ細やかな叙情性も身に沁みる。14曲の収録はやや詰めこみ過ぎな気がするが、優美なメランコリーと無骨な味わいのある作品に仕上がっています。

メインアーティスト:Red
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