4年ぶりとなる伝説を目撃しに埼玉までやってきました。東日本大震災復興支援のために4年ぶりの再結成公演を行うSIAM SHADEを体感するためです(7月に仙台公演フリーライヴを敢行し、本年2公演目)。前回の07年の日本武道館公演の再結成以来の復活が復興支援という形ですが、実現した事にまずは感謝したい。
”この5人が再び集まることで少しでも元気になる人々がいるなら、少しでも希望を持つことができるならば、もう一度だけ俺たちの信じた“ROCK”をみんなに届けようと思います”というコメントから想いが伝わってきますし、昔からルーマニア支援やAct Against AIDSへの参加に積極的だったので、本公演はらしいなと思えます。
会場のさいたまスーパーアリーナは、昨年のメタリカの来日公演で訪れて以来で約1年ぶり。まず到着すると異様な数の人・人・人によるにぎわいを目撃し、 グッズ売り場に移動すると恐ろしいまでの行列におよび腰になり、並ぶ気力を無くす(買うのには最長で2時間かかったと聞きました)。
会場に着いたのが17時半ぐらいだったのでそのまま内部へ。集まったファン層は、年齢もバラバラで昔からのファンや解散してから好きになった人まで様々。ただ、男女比は女性が少し多いと感じるくらいで男性ファンがやっぱり多い。
実際に400レベルの上手側だった僕の周りは男ばっかり。しかし、400レベルといっても遠いですが眺めは悪くないです。開場してから客席が徐々に人で埋まっていく、しかも立ち見までびっちりと入ってくるのを目撃できるのは壮観だった。
開演予定の18時30分より15分程押してライヴはスタート。「LIGHT FOR CLOSE YOUR EYES」をSEにしてメンバーが出てくる。そして、刻まれたのは「RAIN」のリフ、それに即座に反応して轟く歓声と地鳴りのような震動が一挙に押し寄せてきて、鳥肌が立ちました。
”SIAM SHADEの栄喜です。今日はSIAM SHADEのDAITAもいるし、SIAM SHADEの淳士もいるし、SIAM SHADEのNATINもいるし、SIAM SHADEのKAZUMAもいるんだぜ“という4年前の再結成公演のMCを唐突に思い出してしまったが、彼等が目の前で5人一緒に演奏している姿を目撃できることに興奮し、感動がこみ上げてくる。体が熱くなってくのと同時に歌と演奏が心に染み込み、目が思わず潤みます。
「TIME’S」でのDAITA氏のギターソロ、「Why not?」のKAZUMA氏のクネクネダンスなどSIAM SHADEを見てることを強く実感する場面ばかり。ちなみに10月21日はSIAM SHADEが「RAIN」でメジャー・デビューを飾った日。それから本日で16年という年月を刻んでいます。
”今年で解散してから9年が経ちますが、今までで一番大きいキャパの会場でライヴしてます。でも、こんなにぎっしりと人が入ってて嬉しいです“というMCがありましたが、普通ならありえないことでしょう。根強いファンの想いもそうだが、解散してからも多くの人々に影響を与える音楽をSIAM SHADEが作ってきたことを示している。
「1/3の純情な感情」のポップなイメージしか知らない人には、是非ともオリジナル・アルバムを聴いてぶっとんでもらいたいところ。 ポップスとしての優秀さを有しながらも、ハードロック要素の強さや当時のニューメタル/ラウド系に迫る重厚さまで兼ね備えていて、聴き応えは十分ですから。
ライブは大合唱が巻き起こった「LOVESICK~You Don’t Know~」から再びSIAM SHADEが会場の期待に応えていく。今回は「Destination Truth」や「Sin」といった曲まで選曲しており、シングル曲と初期の曲(アルバムで言うと『Ⅱ』『Ⅲ』辺り)がセットリストの中心になっていたのが少し驚き。
8曲目には早くも「Life」を演奏。この曲を高校1年生の時に聴いて受けた衝撃は本当に計り知れない。タイトル通りに人生の尊さ・厳しさを刻んでいく壮大なミドルチューン。今までに数えきれないぐらい聴いてきた僕の永遠のアンセムともいえる曲。少しずつ人生の階段を歩んでいくような力強い展開に真正面からじっくりと向き合い、全身・全感覚・心で受けとめ聴いていたけど目頭が思わず熱くなりました。
”愛を届けます”という言葉から演奏されたバラード「LOVE」に続いては、楽器隊のインスト・メドレーに突入。「Virtuos」から始まって、超絶という言葉を連呼したくなる(実際に僕の後ろで見ていた兄ちゃん達が連呼してたけど)凄まじい演奏が繰り広げられた。
タッピングに始まって泣きのギターソロに入っていったDAITA氏の人気シングル曲「せつなさよりも遠くへ」やNATIN氏のスラップが炸裂しまくる 「Outsider」、淳士氏のドラムソロも忙しく挟んで、最後は「Triptych」で締めくくり。ここでやった曲は、裏を返せばもう今日のライヴではやらないという意味合いも含んでいるのでその点は残念でしたが、贅沢なメドレーでしたね。
「グレイシャルLOVE」からは再び5人で後半戦へ。「NEVER END」→「CAN’T FORGET YOU」→「LET IT GO」→ 「SHAKE ME DOWN」とシングル連発と初期の楽曲を織り交ぜた形で攻め、「PRIDE」~「PRAYER」~「GET A LIFE」のお馴染みの3連発で本編を締めくくる。激しい楽曲が続いたことで僕も頭振って、叫んで、拳あげてで燃えまくりました。
しばらくしてから、最初のアンコール。出て来て栄喜氏がドラム・セットに陣取ったので、どうしようもなくなった淳士が高くて届かないマイクを何とか身体に合わせて 「オイ!オイ!」と会場を煽る一幕もみられて皆を和ませてくれた。それが終わると今度は栄喜氏が”今日の事を忘れないためにもDVD化します”とうれしい知らせも(ただ予定だとは言い直してましたが)。
それにはもっと盛り上がる必要があるよな!とファンとの絆を確認するかのような大切な1曲「Dear…」を演奏。続いて「曇りのち晴れ」、メガセールスの「1/3の純情な感情」、亡きプロ野球ニュースのテーマソングにもなったで「Dreams」とシングル3連発で温かく優しい想いが詰まった曲が披露された。
ただ、このセクションでは「絶望の先には希望しかないから強く生きてくれ 生きる事を絶対にあきらめんじゃねえぞ 今日このステージに立った事に意義をくれ」といった栄喜氏の言葉が心に強く強く突き刺さってきた。
再びのアンコールでは“SIAM SHADEの6人として音を出すのがあとわずかとなってしまいました”といった後に栄喜が思わず涙ぐんでしまったり。そこからインディーズ時代の「NO CONTROL」~「Imagination」で盛り上げ、鋼鉄のリフと漢臭いコーラスで激しく揺さぶる「D.Z.I.」が炸裂。400レベルにいたわけですが、足元からは凄い振動を感じたし、尋常ではない熱さが伝わってきます。
ラストの「Don’t Tell Lies」はもう本当に圧巻。メンバーの魂の演奏と会場の壮観な眺めが重なって、信じられないパワーを感じ取ることができた。これ以上ない締めくくり。
最後はDAITA氏がマイクを持って総括。”7月に仙台でフリーライブをやったんですが、勇気をあげる予定が、逆に僕らのほうが勇気をも らっちゃって。その分ここでその勇気を出せたと思います。まだまだ復興支援は続きますが、個々の活動でやって支援していけたらと思っています。でも、もう解散して9年になるのに、これだけの人が集まってくれて、俺たちの信じたROCKは間違ってなかったってこよだよなあ!“と熱く語ってくれました。
”大和魂 1,2,3,ダァーーーーー!!“の締めで完全終了。最後の最後で栄喜氏の”オマエラ、最高だ“と叫び、深々と頭を下げてステージを去っていきました。エンディングとして流される「Dear…」で人々は、歌う人もいれば心で感じる人もいただろうし、想い想いに余韻に浸った事でしょう。
—setlist—
SE. LIGHT FOR CLOSE YOUR EYES
01. RAIN
02. TIME’S
03. Why Not?
04. LOVESICK ~You Don’t Know~
05. Destination Truth
06. BLACK
07. Sin
08. Life
09. LOVE
10. インスト・メドレー – Virtuoso – DREAMLESS WORLD – せつなさよりも遠くへ – No!marionette! – Outsider – Heaven – I Believe – ドラムソロ – Bloody Train – Fly high – Triptych
11. グレイシャルLOVE
12. NEVER END
13. CAN’T FORGET YOU
14. LET IT GO
15. SHAKE ME DOWN
16. PRIDE
17. PRAYER
18. GET A LIFE
—Encore1—
19. Dear…
20. 曇りのち晴れ
21. 1/3の純情な感情
22. Dreams
—Encore2—
23. NO CONTROL
24. Imagination
25. D.Z.I
26. Don’t Tell Lies
メンバーはいくつになってもかっこいいし、青春のヒーローである。本日のMCの言葉を借りるなら、僕がSIAM SHADEのロックをずっとずっと聴き続けてきた事は決して間違いではないということ。解散前のライヴに行った事がなくて再結成2公演のみの参戦しかありません。でも、いずれも SIAM SHADEというバンドの大きさを感じるものでした。今回見たことで、僕の中で彼等の音楽はさらに輝きを増すものとなりました。
もちろん、SIAM SHADEにはまた何年後かに夢と奇跡を味あわせて欲しい。その時を信じて待っている。レポートの締めくくりは前回同様というか、絶対にこの言葉でなくてはならない気がします。またSIAM SHADEに会えることを願って・・・