【作品紹介】IRREVERSIBLE『Vessel』

 2005年に結成されたアトランタのポストメタル・バンド。2007年のデビュー作『SINS』、2014年の3rd『Surface』といった作品をリリース。スラッジメタル/ポストメタルに電子音や映画からのサンプリングを織り交ぜたスタイルを特徴に、2015年まで活動しました。

 解散していたバンドは1stアルバム『SINS』を2022年にアナログ盤でリリースすることをきっかけにメンバー間で和解。そしてGODFLESHからのオファーに応え、2023年のアトランタ公演にオープニングアクトとして参加したことで復活を果たします。その後に音楽制作を続け、2026年3月に約11年ぶりとなるフルアルバム『Vessel』をリリース。

 本記事は最新作『Vessel』について書いています。

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作品紹介

Vessel(2026)

 5thアルバム。全2曲約40分収録。セルフタイトルの『IRREVERSIBLE』より実に11年ぶりの作品です。解散していたバンドが、1stアルバム『SINS』のアナログ盤を2022年にリリースすることを機にメンバー間で和解。そしてGODFLESHからのオファーに応え、2023年のアトランタ公演にオープニングアクトとして参加したことで復活を果たします。

 Bandcampの説明文には”本作は集団精神病、夢、死、そしてポストモダン的な不条理といったテーマを探求している“とのこと。収録内容は約20分の長編曲が2つ。計40分。ポストメタルはお急ぎ便じゃねえという表明であり、タイパにはおとといきやがれである。そんな各楽曲については、”私たちの音楽が包含できる二面性を探求しており、#1「Esus」はより不快で不協和音的なサウンド、#2「Thoth」はより美しく勝利に満ちた要素を取り入れています“とImmersive Atlantaの記事で回答しています。

 #1「Esus」はバンド側からの言葉がないので推測になりますが、古代ケルト神話において残忍な神といわれるエスス(Esus)が由来ではないかと思う。その理由はGODFLESHの1st『Streetcleaner』を思わせる苛烈さが本曲は続き、地獄とお友達路線が20分のほとんどを占めるから(実際に歌詞でも”地獄を繰り返す”とある)。いずれも無慈悲と形容すべきなギターリフにリズムに咆哮。この基本セットを軸にデジタル処理や映画サンプルの使用で不穏さに拍車をかけますが、過酷な道のりの中で4~5回ほど場面が移り変わります。10分40秒辺りからの憩いとなるポストロックへ少しの時間だけ転身し、17分過ぎ辺りから不意を突くギターソロが盛り込まれている。

 暴の#1「Esus」に対して、#2「Thoth」は美に力点を置く。Explosions In The Sky、ISIS、Jesuといったアーティストが代わる代わる浮かぶ音像に加え、2014年作『Surface』で示した美しさが統合されています。イントロから続く澄んだギターの音色に導かれるがまま、ポストメタル的な繊細さと重厚さを流動。その中に夢や死といったテーマを織り込んでいます。嵐のような音が止むと、15分を過ぎた辺りでアコースティックを中心とした静かなセクションへ移行。引用されたセリフサンプルと共に瞑想的な終わりを告げる。

 IRREVERSIBLEの音楽が持つ重みや思慮深さ、それを復活の先に体感できる堂々たる作品です。

 なお映画からのサンプリングはIRREVERSIBLEの重要な要素ですが、本作で使用された映画については地元アトランタのレンタルビデオ店とのコラボレーション企画(参照:Instagram)にて確認できます。『ブルー・ベルベット』『メモリア』『けものがいる(The Beast)』『Grey Gardens』などが挙げられている。

メインアーティスト:Irreversible
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IRREVERSIBLE- Thoth (clip)
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