2020年のコロナウイルスによるロックダウン時から活動する6人組。スコットランドを拠点にもともとはインスト・プロジェクトとして始動するも、メンバー入替・増員しながら現在の形態へ。バンドは”Retro Futurist Noir Post-Metal”を掲げています。
本記事は2025年1月下旬にリリースされた1stアルバム『Cleave』について書いています。
作品紹介
Cleave(2025)
1stアルバム。全7曲約40分収録。以前に取り上げたCodespeakerと同じRipcord Recordsからのリリースとなります。”レトロ・フューチャリスト・ノワール・ポストメタル”なる横文字攻撃を掲げるBeneath a Steel Sky(以下BaSS)は、洗練された美しさと内省的な雰囲気を持つバンドです。
Explosions In The Sky系ポストロックの性質に重きを置きつつ、ポストメタルの重量感を丁寧にドッキングしているのが特徴。近いのはRosettaだと感じるのですが、そこにRed Sparowesのメロウさを織り込み(曲名の長さも含めて)、場面によっては同郷の偉大な存在であるMogwaiも顔をのぞかせます。
アーロン・ターナー寄りの唸り声やスラッジメタル寄りの重低音は構成にもちろん組み込まれていますが、それらを塩漬けにする美麗なセクションが機能。アルペジオの波は湿った哀感を引き連れ、トリプルギターのうち2人が兼務するクリーン・ヴォーカルはわびしげに響き渡る。繰り返しからゆっくり展開していくことが大半の曲に共通する中で、物思いに耽る瞬間をもたらしています。
本作のムードを決定づけている#2「Vanguard」や#4「Quetzalcoatlus」の重・美のバランス感覚とスムーズな移行は見事。また一定に保たれる奇妙なアルペジオから派生していったという#6「Cycical Dunt」では、清濁のつばぜり合いが終盤にかけて大きなうねりへ。そして終曲#7「The Becoming」にはヘヴィなクライマックスが待ち受けているとはいえ、瞑想を誘うしみじみとした歌とメロディに惹きつけられます。
ねじふせるムーヴはほぼなく、詩的な態度で接してくるポストメタルとして浸れる良さがある。ゆえに浸ればよろしかろう。暗さや不安を映し出しても、この品のあるリリシズムは魅力的ですから。