
シンガーソングライター兼ヴィジュアル・アーティストの Rebecca Need-Menear、音楽プロデューサーのPeter Milesによるユニット。ユニット名のHäxaはスウェーデン語で魔女を意味する。
Rebeccaは“i Häxa は、映画から詩、精神性から私自身の日記まで、あらゆる影響を解き放つことができるプロジェクト(参照:SOUNDS VEGANインタビュー)”と話しており、ダークアンビエントやトリップホップと結びついた音楽と共にそれを表現。現在、Pelagic Recordsと契約しています。
本記事は2024年11月にリリースされた1stアルバム『i Häxa』について書いています。
作品紹介
i Häxa(2024)

1stアルバム。全16曲約60分収録。Pelagic Recordsからのリリース。”ジャンルにとらわれないサウンドスケープ、長編抽象映画、古代の気象神話を織り交ぜた唯一のビジョン“とはPelagicからのリリースインフォによるもの。
ですが、聴いて感じるのは暗くミステリアスであること。冒頭を飾る#1「Underworld」から不穏なビートと弦楽器の微かな揺れの上をRebeccaの歌が独自の世界へ招き入れる。それが夢のようでもあり、ホラーのようでもあり。
Portisheadの影響下にある仄暗いトリップホップのタッチが浮かび上がる中で、フォークやドローン、インダストリアルといったテイストを様々に出し入れ。ユニットの中心軸となるRebeccaは清らかな歌唱、スポークンワードやファルセットなどを用いて表情をつけていく。天使と悪魔の両方の媒介役になれる役回りをこなしています。
作品は4つの楽章に別れ、それぞれが1パートが4曲で約15分に収まり、四季と四大元素をテーマにしています(参照:SOUNDS VEGANインタビュー)。Part1(#1~#4)はエレクトロニカ、Part2はクラシカル、Part3はインダストリアルと強調される部分はあれど、暗い物語を神秘性を帯びたものに昇華していく。
ストリングスのたおやかな美に彩られた#7「The Well」、NIN風味の#12「Destroy Everything」、電子ドラムを中印とした強烈なビートと幽玄なアンビエントや歌が絡む#15「Infernum」。それらを経て無の境地へと還すようにしっとりとした#16「Circle」で締めくくられる。闇と分かち合うための音楽。その美しい調べが本作にはあります。
