【作品紹介】you, infinite『you, infinite』

 This Will Destroy Youの創設メンバーであるJeremy Galindo(Gt)、同じく創設メンバーでありながらも医学の道へ進むために2007年に脱退したRaymond Brown(Ba)を擁するインスト・デュオ。彼等は13歳ごろからバンドをやる幼馴染でもある(参照:Spill MagazineインタビューVeil of Soundの動画インタビュー10分40秒辺り)

 パンデミック期の2020年~2021年頃から始動。2024年にはJeremy Galindoが率いるTWDYのツアーメンバーに名を連ねるJohnnie McBryde、Ethan Billips、Nicholas Huftが演奏・録音に加わっています。2025年2月末に1stアルバム『you, infinite』をPelagic Recordsからリリース。

 本記事は2025年2月末にリリースされた1stアルバム『you, infinite』について書いています。

※This Will Destroy Youの状況について追記。

現在はややこしいですが、Jeremy GalindoとChristopher King(Gt)がそれぞれ2つの異なるラインナップを持ってTWDYのツアーを行っている状況。またTWDY名義での新作は発表されない。その旨がFacebookページに2024年8月に投稿されている。

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作品紹介

you, infinite(2025)

 1stアルバム。全9曲約64分収録。”最終的にこのアルバムは、TWDYの初期アルバム2作品の構成と雰囲気を自然と反映したものになった。中断したところから再開したような、正しい感じがした“という発言がNEW NOISE MAGAZINEのインタビューにあります。

 デュオ編成のサイドプロジェクト。だからアンビエント寄りの作風だと勝手に予想していたら、はるかに初期TWDYしている。むしろTWDYの新作では? そう思えてしまうぐらいです。

 Jeremy Galindoの現在のツアーラインナップを引き連れた5人組バンド編成としての強度と壮大さ。そして代名詞のひとつである静と動のダイナミクスの魔法を宿しています。その最たるものである#2「Throughlines」や#8「Shine Eternal」を聴いて覚える昂ぶり。TWDYの音源が2020年にリリースしたレストランのBGMで止まっているので、この音を前にして余計に熱が入る。

 リードシングルの#5「The Elder」も同系統の轟音系と言えますが、少しテンポが速め。さらにはAlbum Leaf風味のエレクトロニカ要素が加味されます。本作にはこうした電子音の柔らかな聴き心地を施した上で、ピアノやオーケストラルな風合いが随所でおもてなし。11分14秒を数える#7「Understated」にしても調和が生み出す温かさに身も心も包まれていく。

 なかにはメモリーマンを使ったループを挿入した#4「Loop 20」というメンバーお気に入り曲もあり(参照:Spill Magazineインタビュー)。終曲#9「Dormant」では楽器隊のやたらと騒々しい前半を経て、光が静かに収束していくクライマックスへと向かう。

 過去のフィルムを現像し、原点に返る。強くてニューゲーム的な側面は大きいにせよ、なつかしい手つきの中にも前進は見られます。若き頃からの絆を持つ2人が創作意欲を高め合った結果、その美しき産物。

メインアーティスト:you, infinite
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you, infinite – Shine Eternal
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