
作品紹介
neumann(2025)

2ndアルバム。全9曲約60分収録。baanは韓国・釜山を拠点に活動する4人組です。公式InstagramではSludge/Screamoと自身を形容。ほかにBandcampがあるぐらいで、バンドでも発信をあまりしていないので情報は限りなく少ないです。ただし、マスタリングはJames Plotkin先生なのでお墨付きは一応あり。
このように事前情報は少なくとも本作から放たれる爆音は、快楽というご利益になって返ってくる。冒頭#1「Birdperson」の出足こそmeth.が一瞬よぎりますが、Pelicanを思わせる重厚さと快活さを伴ったインストを展開。続く#2「Early Bird Dies Fast 」や先行曲#4「Reversal of a Man」にしてもギターのやかましさが前面に出ており、フィジカルな強度と推進力を与えるリズム隊もあいまって強力です。
1曲は平均で7分弱とやや長め。インストゥルメンタルが大半を占めていて、叫びをポイントで入れている形。ちなみに歌詞は英語詞です。ただ、ヴォーカルは演奏に対して主張はやや控えめ。代わりに楽器隊の大音量が鼓膜へ殴りかかってくる。その音もThe Psychic ParamountやHUM、Conjurer辺りを引き合いに出したくなるものです。加えて、汗が飛び散るようなバンドの熱量を感じ取れるのも惹かれる点でしょう。
テイストとしては自身でも表現するスラッジまたはオルタナティヴといった方面。1stアルバム『To Telescope』も聴いてみましたが、こちらは硬質でジャキジャキしたギターロックといった感じでした。それが歪みとアンプによるステロイドなのかはわかりませんが、本作では明らかに音の太さや強度に違いがある。
3曲にまたがる組曲#5~#7「Sing a Brave Song」は何かに取り憑かれたのように爆音製造機と化してますが、油断したころにクールなパートを挟んできます。またAsian Glowが参加したラスト曲#9「Oldman」はdeathcrashっぽかったり。やかましさによる三半規管のふらつき。秒での沸騰も時間をかけた興奮も本作には存在しています。
