「楽しい」という感情の方が遥かに勝るステージでした。Hexis、Downfall of Gaiaに続く3LAさんによって招聘された、スペインのネオクラスト・バンドがもたらした想定外の驚き。そして、笑顔の山。Khmer(“クメール”と読みます)のライヴは、集まった人々をニコニコさせる圧倒的なエネルギーがあったのです。
「ネオクラスト」というとやはり激しさを一番に浮かべます。実際に彼等の発表した作品では、ソリッドでエグい音が連なり、メッセージ性の強い歌詞を叫ぶのが肝。その瞬発力と切れ味は、ライヴにおいても強く発揮されていました。リズム隊は新メンバーの2人ですが(女性ベーシストのオライア様が萌え度高し)、タメと加速をコントロールしながら曲を推進させ、ギタリストのIvanは獰猛さとメロディを巧みに両立させながら、強烈な昂揚感をもたらします。
そんな中で一番に目立っていたのはVoのMario。最初のMCで「オレたちはクメールです。スペインからきました」って日本語で喋ってましたが、本日の笑顔感染症の大もとがこの人です。最前線に立ち、叫んで叫んで叫びまくる。しかし、それだけでなく何度となくフロアに乗り込んでは客と手を合わせたり、ハグしたり(RalmのVoの子が多かったなw)。サザエさんのエンディングばりにみんなを呼び込んで、一体感を作り上げている感じ。スタジオ・ライヴということで距離感はもともと近いとはいえ、会場にいる全員を抱いた的なゼロ距離でのパフォーマンスを見ているかのようでした。
曲目としては「Pájaros negros」や「Restos de un naufragio」など約40分。一撃必殺といえるレベルの楽曲をどんどん投下していきます。そのおかげで熱気に包まれているとはいえ、ステージ上にもフロアにも並ぶのはニコニコした顔たち。激しさを超えるこの親しみやすさは、彼等の人柄からくるものなのでしょう。だって、こんなお茶目だしな(笑)。それに今を駆け抜ける、アンダーグラウンドを走り続けるための絆が、曲が進むにつれてできあがっていった感じがありました。
中盤辺りでMarioが3LAオーナーの水谷さんに対する感謝を言葉にし、それに反応して彼に向けて会場の人達から拍手が贈られていた光景に感動を覚えたり。彼等がステージで表現した”ネオクラストはスマイルに通ず”というのは、体感したからこそわかったこと。人間味溢れた今日のライヴを経て、僕の中ではスマイリーKhmerが爆誕したので、スゴイ体験をしたなあと感じています。
Khmer @ 新宿dues(2016/4/19)
共演バンドについて軽く。1バンド目は間に合わずでSONIC DISORDER、PUNHALADA、Ralmを見ました。その中でも、トリだったのですが、ライヴができるのか?と思えるほどVoの子が感極まって泣き崩れていたRalmの情熱には敬意を払いたいですね。自分たちで名乗りでて企画やったからこそ味わえる感動と経験、これを若い世代として活かしてもらえたらなあ。