約2年ぶりにVampilliaをみる。前回は、2019年10月に開催されたTHE OCEANの来日公演@下北沢ERAでした。その前も2018年のAmenra来日公演2DAYSだから、Tokyo Jupiter Recordsさんの企画で続けてみていたことになります。愛知県でとなるとトヨロック2016以来ですね。昔からみてるけど、ワンマンはこの日が初めて。
12年前に元SwansのJarboeを招聘したライヴを名古屋K.D.Japonでみたのが、わたしの最初のVampillia。以降は定期的に音源もライヴも追っています。古くは3人ヴォーカルがいた時代があったし、パーカッションの女性がいた時代もあった。時と共にライヴ編成はどんどん変わっていってる。見ていない2年間。新感染症時代に入ってしまい、再びバンドは変化を余儀なくされていました。
具体的にはずっとレギュラーのギターだったスラッシュさんの姿が無かった。代わりにミッチー氏がベースからギターへ転向。ダンボール肉まん氏と共にツインギターを担当する(二人ともスカート。一時期のDIR EN GREY・Toshiyaさんを思わせる)。今ツアー名古屋公演だけはドラムがお馴染みの竜巻太郎氏。ベースはof decay and sublimeの岡崎さんがサポート。ヴォーカルのモンゴロイド氏、キーボードの山本さん、ヴァイオリンの宮本玲さんは不動。
客入りが最初のDeafheaven名古屋公演の再来だとVampillia公式ツイッターで心配していましたが、そこまではならず。50人いかないぐらいの客入りでしょうか。わたしは早めに会場に入りましたが、18時半ぐらいまで10人ぐらいしかいなかったので危険な寒さが漂ってはいましたが。そういえば、UPSETに来てからAlcestとVampilliaをみたのがここだったと思いだしたり。
以下、ライヴ感想を書いていきます。
ライブ感想
予定の開演時間から15分ほど過ぎて、モンゴロイド氏を除くメンバーが続々とステージに姿を見せます。ミッチー氏が中央に出てきて、いきなりネタをかますのを見るのは何年ぶりのことでしょう。BOØWYの「WORKING MAN」のベースソロから入るものですが、大半の人がわからず静かな時間が流れ・・・。松井常松( BOØWYのベーシスト)の名を呼ぶミッチー氏の声は、笑いの神様に見放されて天に消えていったのでした。
それが無かったかのようにライヴは「fenghuang」から始まります。キーボードが静かに物語を引き立て、ヴァイオリンが咽び泣く。2曲目の表題曲となる「Nostalgic Tomorrow」にもその流れは続きます。本来は真部さんのヴォーカルが入りますが、そこは無し。終盤はMONOっぽいトレモロが余計に悲しさを連れてきて、ようやく登場のモンゴロイド氏が叫び散らす。中邑真輔とジェームズ・ハーデンのハイブリッド化が進む髪型と髭、加えて白いロンTとハーフパンツという装いが印象的。
以降はニューアルバム用と思われる新曲祭り。盟友AlcestやDeafheavenの温かブラックゲイズ寄りトレモロの多用、キーボードとストリングスの悲しくもエレガントな響き。グラインドコアを思わせる瞬間風速と暴力性に撃ち抜かれますが、追いかけてくる美と郷愁の嵐が心を揺さぶってくる。繰り出される新曲はどれも豊かな展開を持ち、グンとストーリー性が高まっています。
3曲目は全く聴いたことがない曲でしたが、4曲目は5年半前のKayo Dot来日公演から聴いてる曲。シガーロスの多幸感シャワーとVampillia流ブルータル・サウンドが溶けあう曲。この曲を筆頭に半分ぐらいは既にライヴで披露されているものでした。
3年前にDEMOソングとしてyoutubeにあがったこちらの曲も、ライヴの中盤~後半にかけて披露されました。モンゴロイド氏が客席の柵中央に立ち、マイクを通さずに叫ぶ。そして、楽曲は壮大な音の渦へ。後半の曲ではめくるめく異国情緒(主に中華風)が目立つ曲が披露されます。それは、楽曲を引するヴァイオリンとキーボードの旋律によるものでしょうか。「Hope」の前に演奏した曲は、The Oceanの時に聴いて印象に残っているものでした。
終盤に唯一?の既発曲「Hope」。途中でモンゴロイド氏が楽屋の方に脚立を取りに行き、久しぶりの脚立芸をみました。最上段までいったところで天井に頭をぶつけ「痛っっっ!?」と思いっきりマイクで拾っていて、みな爆笑。ミッチー氏よりも笑いを取っているという現実がここにありました。
アンコールは1曲。三丁目の夕日感溢れるノスタルジックな音色、ブッチャーズの吉村さんを思わせる歌が入る(スマホのメモをみながら歌うモンドロイド氏)、でも後半は騒々しく爆発と加速。懐かしい気持ちに耽っている場合ではない、Vampilliaのライヴなんだと再認識させて終演を迎えます。
「明日(渋谷)もきてください。アルバム楽しみにしてください」とモンゴロイド氏。その言葉はなくとも、アルバムへの大きな期待は膨らみ、高まる一夜でした。新作は間違いない、そう思わせるには十分すぎるぐらいのライヴ。終演後に購入した『Nostalgic Tomorrow』を聴きながら、その時を待ちたい。