
約2年ぶりにROTH BART BARONの公演へ足を運びました。発売から10周年となる1stアルバム『ICE AGE』を冠したツアーということで、初期の音楽性が好きな私としてはやはり見たかった。場所によって編成の違いはありますが、今宵は6人のバンド編成。ギタリストの岡田拓郎氏が抜けてしまったものの(彼が抜けた体制をみるのはこの日が初)、他の面々は変わりなし。三船さんがギターを置かない時間が無いのは新鮮でしたね。
1stアルバムはインディ・フォークに根差した音楽性と世を憂うメッセージ性が強い。ゆえに言葉とメロディを慎重に味わう氷の会みたいになるかと思いきや、体感し終えると”雪解けと花咲み”をコンセプトに掲げる温かさと前向きな力を感じさせるもの。
「炎」や「春と灰」のように繊細な音色と歌声を追いかけるような体験から、「鳳と凰」「極彩 | I G L (S)」といった代表曲がもたらす華やかさと力強さまで。そのコントラスの妙。そして風景が浮かんでくる音楽としての豊かさ。初期にこだわるみたいなことではなくて新旧入り混じる中で、今の6人が鳴らす音となっている。だからか「Closer」みたいな電子音でドレスアップされた曲も浮かずにしっくりきました。
MCでは三船さんがその町に行くと雪が降ることでゲレンデを溶かさない男を襲名したり、名古屋過去最大動員を喜んだりと和む場面もありました。そんな中で「帰還」の入りで2回間違えたり。ライブだからいろんなことが起こるわけです。
個人的には本編終盤がハイライト。4年前の名古屋公演でラストに演奏してから特に好きになった「氷河期#2」で味わう歓喜は今宵もすばらしかった。
アンコールは初期曲で固められ、ささやかに響く「オフィーリア」の静けさの味わいから「小さな巨人」の一体となったコーラスが会場の雪解けを促す。そして大ラスの「氷河期#3」。”僕らはもう少しだけ 素直に生きるべきなんだよ“という詞から後半にドラムが一気に躍動し、ホーンやピアノが祝福するように鳴る。生きて音楽に浸れること。その歓びを感じられるからこそROTH BART BARONのライブに行くんだよなあと改めて感じました。

—setlist—
01. 炎
02. Buffalo
03. 鳳と凰
04. 屋上と花束
05. 氷河期#1(The Ice Age)
06. HOWL
07. 赤と青
08. 極彩 | I G L (S)
09. 春と灰
10. Eternal
11. 火魅蟲
12. 蠅の王
13. Innocence
14. 帰還
15. TAICO SONG
16. CLOSER
17. 氷河期#2(Monster)
18. 花吹雪
–Encore–
19. オフィーリア
20. 小さな巨人
21. 氷河期#3(Twenty four eyes/alumite)