【ライブ感想】2025/02/11 黒夢『CORKSCREW A GO GO! SAINT MY FAKE STAR』@ ぴあアリーナMM

 約10年ぶりに体感する黒夢です。その10年前となる2014~2015は黒夢の最後のロングツアーと題された年で、この時に初めて黒夢をみることができました。ツアー前哨戦となる地獄の三夜(わたしは1日だけ)、クロの日、男限定、年末カウントダウン公演の4回。黒夢はアルバム毎に変貌を遂げているバンドだけに、その4回だけでもいろんな黒夢の姿をみることができましたし、たくさんの曲が聴けました。それが再び体験できることが何よりもうれしい。

 今宵は2/9の東京ガーデンシアターの復活公演が即完売したための追加公演。場所は初めて行くぴあアリーナMM。新型コロナが無ければ、2020年夏にDIR EN GREYの公演で訪れる予定だったところ。キャパ10,000人規模の大ホールで、この日はスポーツ報知の記事によると9,000人の集客だった模様。しかし、見回すと4階スタンドまで埋まっていて、自分が見ていたのは2階スタンドですが、ステージに近い方(真横の角度のきつい方)は販売されてない様子でした。埋め尽くされている。ちなみに今回はアリーナも指定席でスタンディングはなし。

わたしはスタンド席の2列目。眺めは写真の感じ

 黒夢と聞いて初期のヴィジュアル系的なイメージ、feminism~BEAMS辺りのポップなイメージを浮かべる人はいると思います。ただ多くの人が思い出すのは、「少年」を上裸で歌う清春さんの姿でしょう。尖ったロックンロールを掻き鳴らす上に、1997年から98年にかけては約230本(参照:wikipedia)をこなすほどのライヴバンド。タイトルの『CORKSCREW A GO GO!』は当時のツアー名であり、そのコンセプトに沿ったと思われるのが本公演です。

 定刻から5分ほど過ぎて開演。「FAKE STAR」で始まって「Like @ Angel」で終わる様式美は変わらない。ただ原曲よりも速いBPMで迫りくる肉体と魂の表現に昂ぶります。昨年10月のANDROGYNOSで体感したPIERROTもそうでしたが、空白期間を感じさせないライヴ。映像演出は何もなく丸腰で向かってくる凶暴な音の群れ。時代をものともしないロックンロールが今ここで鳴っています。

 メジャーデビューしてから約30年、6thアルバム『CORKSCREW』から約25年。この日は清春さんと人時さんに加え、ギターに坂下たけとも氏とDAIKI氏(CROSSFAITH)、ドラムにKatsuma氏(coldrainn)とサポートメンバーを迎えた5人体制。たけとも氏は活休前~SADS初期、Katsuma氏は10年前のツアーに参加しており、今回初参加となるのがDAIKI氏です。清春さん曰く連れて帰りたいほどかわいいらしい。

 清春さんは音源とは歌い回しが違ったり、煙草をくゆらせたり、ステージにアリーナの方に降りていったりと相変わらず自由な振る舞い。それに「予定外の追加公演なので予定外に暴れて」と煽る。

 人時さんのうねるベースもスピードを伴って肉体に響いてくる。50代の体に鞭打って眉間にしわ寄せながら高速の曲をやっていると話してましたが、10年ぶりにも関わらず黒夢はカッコよかった。「少年」に感銘を受けた当時小学6年生のわたしにおしえてあげたい。活動休止後に信じられないドラマがあると。

 人時さんのベースソロ・コーナー、楽器陣による「MIND BREAKER」のセッションを経ての「MASTURBATING SMILE」。清春さんがステージに再登場するかと思いきや、全く出てこないから急遽各メンバーのソロでつなぐライブならではの出来事もあり(3分に満たないこの曲を10分ぐらいやってた。スタッフの方が時間延ばしてみたいなジェスチャーしてたのが見えてちょっと笑いました)。

 「HELLO,CP ISOLATION」~「MARIA」までの3曲は清春さんソロツアーでのキーパーソンであるサックス奏者の栗原氏、加えてSOIL&PIMP SESSIONSのトランペット奏者であるタブゾンビ氏がゲスト参加。昨年7月の清春ソロ名古屋ボトムライン公演を見に行ったら、ちょうどタブゾンビ氏が参加してた時。それが黒夢の公演で結実するとは。2人が加わった「MARIA」は26年の時を経て完成系を見たようでとにかく感動しました。

 本編ラストの「SICK」では序盤の特効演出と共に猛スピードでぴあアリーナを燃やし尽くす。アンコールは2回それぞれ3曲ずつ披露。「カマキリ」「少年」「Like @ Angel」と自分が幼き頃に刻まれた名曲たちに体がうずく。鼓動が高鳴る。何十年経っても色あせないし、50代を超えてもなおロックンロールであろうとする黒夢のステージ。最後まで熱すぎるものでした。

 「今の僕らはどう死ぬか。どう死ぬために生きるかを毎日考えて、もがいています」とは清春さんの発言。先日鑑賞した映画『ザ・ルーム・ネクスト・ドア』でもティルダ・スウィントン演じるマーサが同じようなセリフを口にしていた。今、その瞬間を大切にすること。わたしももう少し年を重ねたら、どう死ぬかのフェーズに入れるのだろうか。

 黒夢は夏からのZEPPツアーを発表。そちらにも足を運びたいし、また清春さんのソロ公演も見にいきたい。そのために目先の1日1日をちゃんと生きます。

メインアーティスト:黒夢
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—setlist—-
01. FAKE STAR
02. SPOON&CAFFEINE
03. DISTRACTION
04. CAN’T SEE YARD
05. BARTER
06. BAD SPEED PLAY
07. LAST PREASURE
08. 人時 Bass Solo~MIND BREAKER(楽器隊SESSION)
09. MASTURBATING SMILE
10. FASTER BEAT
11. HELLO,CP ISOLATION
12. YA-YA-YA!
13. MARIA
14. ROCK’N’ ROLL
15. C.Y.HEAD
16. CANDY
17. 後遺症-aftereffect-
18. Sick

—Encore1—
19. DRIVE
20. Suck me!
21. カマキリ

—Encore2—
22. 少年
23. NEEDLESS
24. Like @ Angel

お読みいただきありがとうございました!
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