VISUAL JAPAN SUMMIT 2016 DAY3 @ 幕張メッセ

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 最終日のみの参加。みたいバンドが1番固まっているのが理由です。先に「わたくしにとってのヴィジュアル系」について記述しておきます。自分でCDを買ったりして音楽をまともに聴き始めたのが中学1年生だった1998年で、この時はヴィジュアル系全盛期と言える時期(98年は日本の音楽CD売上げのピークでもありますが)。TVやラジオにヴィジュアル系と呼ばれる方々が普通に出演していたので、カッコいいと思って自然と聴くようになっていました。今でもその辺のバンドを聴いているのは、馴染みがあるからだと思うし、まあ故郷みたいなところもあります。ちなみに初めて買ったCDがPENICILLINさんのシングル「make love」。今、全然聴いてない(笑)。

 そして、「大丈夫なのか?」と出演者にも心配されまくっていたVISUAL JAPAN SUMMITです。アーティストがきまぐれで発表されたり、タイムテーブルが開催2日前に発表になったり、VIPエリア美味しいの?だったり、運営・制作がウドー音楽事務所であったりと不安要素がいくつも重なってSNSを中心に怒号が飛び交ってました。あの人とウドーだし、初回開催ということでいろいろあるだろうと覚悟はありましたが、開催前に暴風域の大荒れになるとは。でも、10月14日には無事に開催されてホッ・・・。というわけもなく、「終電がぁ!!終電がぁぁぁぁぁ!」と初日・2日目のお客さんの嘆きを数多く見るという結果となりました。果たして、最終日は。

 海浜幕張駅には7時前に到着。少し休んでから行こうと思って寄った駅近くにある満喫やマクドナルドはぐったりとした黒い集団の野戦病院と化しており、ここまでの2日の疲労を物語ります。8時過ぎには幕張メッセへ。リストバンド交換に向かう途中で見えたグッズ売り場は最終日だけど、並ぶ気力を削ぐぐらいには人がいてスルー。朝何時から並んでるんだ一体…。ちなみに最終日のリストバンドの色は緑でした。

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 9-11ホールをぶち抜いているので、内部はすごくだだっ広い。フードエリアは出店数は多くなく、昼時には大変になるだろうなあという感じ。でも、イオンが近いのを始め、駅周辺にいろいろと店はあるので、ここにそんな期待を寄せなくてもいい気はしました。トイレの数は多くはなかったとはいえ、男性はほとんど並ばなくて良い楽さ。他のフェスには無いな(笑)。でも、女性の割合のほうが多かったとは言え、男性も少ないわけではなく、もっといえば全体の年齢層は幅広かったです。外国人の方も目につきましたしね。

 とりあえず自分は朝9時から無敵バンドのほぼ終わりかけの記念撮影手前まで、謎のロシア人以外はだいたいのバンドは見ました。1日の参加ということもあって、できる限り触れて、レジェンドから若手まで総ざらいしたこのフェスを体感したいなと思いまして。全アーティストという訳にはいきませんでしたが、下記に感想を残します。それにしてもヴィジュアル系フェスだから、「かかってこぉい!」の煽り率高い(笑)。

・NoGoD

ここから見ようという人が結構いて、ドッと人が増えた感じがします。そんな朝早くからイベントのギアをしっかり入れてくれたのが彼等。MCのしゃべりはニコ生に回して、限られた時間(20分)で曲をできる限りやるということですが、「神風」「Stand Up!」「絶望、バイバイ」「カクセイ」と代表曲を中心に攻めてくれました。正統派HR/HMにキャッチーさがいい感じに融合し、パワフルに客席に熱を伝達。僕は初めてライヴ見ましけど、実力は折り紙付きだなというのを確かに感じましたね。団長のハイトーンは一部でつらそうな場面もあったけど、懸命のパフォーマンスで惹かれるものがあります。Xのカバーでもするかとは思いましたがそうではなく、10年以上続けてきたNoGoDとしての誇りを大舞台でみせてくれたかと。

団長「ウィーアー!」、
客「エーックス!」
団長「ノーゴッドだっつ‐の!」

のやり取りで最後にオチをつけてくるあたり、さすが(笑い)。

・Versailles

ヴェルサイユ秋の薔薇祭 in 幕張。MALICE MIZERとX JAPANを交わらせた濃さがあると思いますが、中世ヨーロッパと薔薇の香りを漂わせながらの荘厳なメタルを響かせるのはこの人達の特権。出足の「Aristocrat’s Symphony」からこれぞVersaillesと唸らせるステージで、客席側には薔薇のペンライトが揺れ続ける。意外と雰囲気は温かく、ステージ上の貴族たちからは包容力を感じる場面も。かと思えば、KAMIJYOさんがかつてのベートーベンとモーツァルトの功績と現代のヴィジュアル系を同列に並べて喋りだして、僕は笑ってしまった。KAMIJOさん、スケールが違う。そして、ラストに持ってきた「The Revenant Choir」の美の暴力で薔薇が咲き乱れます。3曲とは言え、特濃でした。来年2月14日に初の武道館公演を予定していますが、行った人には4年ぶりのオリジナル・アルバムをプレゼント。薔薇の末裔はやることが違う、すごい・・・。

・Angelo

PIERROTはメジャーデビューの98年から聴いてますが、キリト先生を拝むのは初めて(っていうかPIERROTの面々が)。初っ端から驚かされたのですが、1曲目に披露した「Umbilical cord」が重厚さとアンビエンスの揺らぎの中でキリト先生の歌声がやけにヒリヒリと響く曲であって、早くも彼等の世界に取り込まれてしまったものです。っていうかこの曲はポストロック/ポストメタル・タイプといえるものでスゴく好みでした。まあ、彼がいるから世界観を大事にしなければいけないこういう曲がハまるってのはあると思いますが。次曲以降はソリッドで重厚なリフを中心に、生首を差し出さなければいけない状況になるほどのヘドバン推奨曲の連続(バンドの好みは違えど、ここに集まった人達の得意技はヘドバンと彼は言ってました)。キリト先生もマイクスタンドを叩きつけたり、飛べーっと煽ったり、カリスマの威光を発揮。人の群れを動揺させる力、さすがです。Angeloってほとんど聴いたとことがありませんでしたが、こんな短時間で体中に毒が回ってしまうほど、本日のステージは良かったと思います。

・清春

黒夢の商標権問題があった中で、ソロとしての出演となった清春先生。ちなみに自分はソロのライヴを見るのは12年ぶり。黒夢は2年前に4回見てます。サポートにアコギとエレキ・ギターの2名を引き連れ、中央で彼がリラックスしたムードで歌います。大きな歓声が上がったSADSの「忘却の空」で始まって、アコースティックの形で歌を届けていく。鳴らしている音は飾り気のない簡素なものですが、だからこそ彼の歌が最大限に浸透して聴き手を縛り付けるような感触。こういうフェスって激しいロックが好まれるとは思いますが、その歌声で会場の空気を掌握/支配に成功し、独占してしまう辺りはやっぱりカリスマ。ソロの曲はどうしても知名度が落ちてしまうところですが、彼の声に意識が引っ張られていくような感覚があってスゴかった。清春先生は格が違う。僕としては黒夢の「アロン(アコースティックver)」がとても切なく胸に響いたのでした。

・MUCC

3日間VJSの司会を務めていた逹瑯氏、ようやく本バンドで出番です。昔の曲は「蘭鋳」ぐらいで、最近の曲を中心としたセットで全6曲。ヘヴィネス+EDMの流れを汲んだ「睡蓮」~「ENDER ENDER」で会場をガンガン揺らし、Xの「Silent Jealousy」のギターソロをぶっこんで湧かせた「KILLEЯ」でみなのハートをつかみ、おなじみ「蘭鋳」では3カウントで全員ジャンプとフェスという場での強さをみせつけてくれます。かつてのOZZFESTでも見ていてわかってはいましたが、ムックは様々な対バンやフェスに出ていて本日の出演バンドの中でも特に場馴れしていて、地力があるなあと感心。哀愁漂う「ハイデ」もただただ胸にくる。ラストの「TONIGHT」に至ってはラルクのken氏がいつの間にか登場して、ギターを響かせるサプライズ。途中のMCで「V系はいつから格好悪くなったのだろう」と逹瑯氏は自問自答してましたが、この「TONIGHT」にはジャンル云々を超えた表現者としてのエモーショナン、それに伴った感動が詰まっていたと思います。

・vistlip

彼等もアルバムは何枚かチェックしていますが、ライヴは初めてです。アニメタイアップの曲が多く、彼等に関してはキャッチーというのがキーだと思いますが、代表曲といえる「SYNDRA」で鮮やかに音を広げ、「Recipe」でカラフルかつポップに会場を温めてくれます。ここまでのバンドたちで足りなかったであろう、爽やか成分を大いに注入。メンバーの容姿もだいぶ爽やかであります。そんな気を引きやすい冒頭2曲を経ると、いきなりゴリゴリになった「My second B-day.」を繰り出し、最後には「LAYOUT」を披露してダークな終わりへ。前後半でコントラストをつけたような構成で、なかなかに良かったと思います。約10年近く続くバンドの力を見せてくれましたね。

・ゴールデンボンバー

自分としてはムックとのツーマン以来2度目の金爆。Xのコスプレで登場して、水商売をやめて「紅」でスタートです。ヴィジュアル系界のみならず、音楽界稀代のエンターテイナーとして本当に楽しませてくれました。定番曲「抱きしめてシュバルツ」ではうまい棒を食べまくり、ダンボール製のドラムセットにダイブして笑撃をお届け。ちなみに本日はYOSHIKI氏のドラムセットを借りていることもあって、あまりドラムの近くにはいないようにしている樽美酒さんに笑。今でしょ!と林先生に念を押されただろうV系パロディ満載のPV(予算はいつもの3倍)を流しながらのメロスピ曲「欲望の歌」、昨年にMステでも披露した「ザ・V系っぽい曲」も大ウケ。V系ど真ん中のこのフェスだからこそ真の威力を発揮したこの2曲は素晴らしかった。でも、まだサプライズがあって、V系最強歌謡曲「女々しくて」の最後の最後にYOSHIKI氏がドラム演奏で参加。ゴールデンボンバーも客席も驚かせる豪華な結末をみせてくれたのでした。そりゃあ金爆は何度も見たくなるわ(笑)。

・cali≠gari

「ムックを育ててくれた兄貴分」と逹瑯氏に紹介されて登場のcali≠gari。既にこの時点で高まりますよ。サポート・ドラムに中西氏を加えての4人編成。昭和歌謡にニューウェーブにオルタナに他いろいろの要素が混じりあった、異端なバンドとしての個性を突きつけるようにステージで披露してくれます。意外に思えた「オーバーナイトハイキング」の開始から「マネキン」で暴れまわり、「マッキーナ」でジュリアナタイム、「淫靡まるでカオスな」でさらなるダンス空間を作り出してみせる。フロント3人は自由に振る舞い(石井さんは裏に回ったりして行方がわからなくなったり)、各々でVJSを楽しんでいるのも伝わってきました。MCをせずにそっけなく。でも確実に衝撃をもたらすようなステージ。最後は「サイレン」に「クソバカゴミゲロ」で狂乱に次ぐ狂乱。石井さんと青さんがヤバイモードへ持っていき終演を迎えました。今回のVJSは様々なバンドが出演しているわけですが、cali≠gariのようなバンドは本当にいないなと感じたものです。

・LUNA SEA

もはや初っ端から放たれた「ROSIER」に参りました!と言わざるを得ません。「これがLUNA SEAってライヴを思いっきり楽しんでください」と神亭主は仰っていましたが、そんなLUNA SEAグレイテスト・ヒッツなシングル曲パレードでございました。彼等は昨年のLUNATIC FEST以来ですが、全てのパートが完璧で神々しいことこの上ない。時代を創ってきたバンドの強さをまざまざとみせつけるようです。その中で火柱が幾度なく上がった「Sweetest Coma Again」がとてもカッコよかった。でも、MCではRYUICHI氏が真也さんをドーナツ食いしん坊みたいな感じで紹介する辺り(笑)。ライヴは「TONIGHT」~「WISH」で最高の瞬間をもたらし、彼等はステージを終えます。ちなみにこの日は満月。狙ってのVJS開催だったのでしょうか(笑)。

・己龍

LUNA SEAとX JAPANという銀河系二大巨頭に挟まれてプレッシャーが半端ではなかったと思いますが、なかなか良かったのが彼等。和製ホラーを掲げているように、陰陽座やkagrra,辺りを思わせる和風要素にヘヴィなサウンドを交錯させていて、光るものがありました。既に武道館バンドとして成功を収めているわけですが、若手にも関わらずこの難しい位置をきっちりと演りきってくれたなあと感心します。しかもLUNA SEAが押した分をきっちりと巻いてきた点もね。そして、彼等なりに和の要素が加えられた「ピンクスパイダー」のカバー、リスペクトを感じました。

・X JAPAN

40分ぐらい遅れて開始。LUNATIC FEST以来のXです。その時から演ってる曲だったり(というかVJS3日間同じセットリスト)、Toshl氏とYOSHIKI氏によるイチャ漫的なMCだったりに大きな変化はありません。2人でしゃべってる時だけ、時間がゆったりしているような感じあるし。「アルバムはほとんど終わっているんです。あ、誰も信じてないな。」「僕は信じるよ」「Toshl、信じてくれてるんだね!」というやり取り、反則すぎでしょw

それにこの日はMCの最中にピアノ伴奏で「DAHLIA」や「Say Anything」辺りをちょびっと歌ったりしていました。なんでこうなったかはよくわかりませんが(笑)。肝心のライヴは往年の名曲+近年の曲で究極への挑戦。彼等のサウンドを体感していると自然と体の底から燃え上がるものがあります。ジェットコースターにずっと乗ってるようなスリリングさ。ただし、どんどん押していくタイムテーブルによって終電のハラハラ・ドキドキをみんな味わうことに(というかもともとセトリが時間内に収まってない上に、スタートがやっぱり遅れる)。ライヴの途中で、一体何人のお客さんが帰宅していったか。にも関わらず所々で何度となく続く「ウィーアー!」コール。終わってみたら、あら不思議、1時間半も押してるじゃありませんか。そんな中近くで「ART OF LIFEが始まるぞー!うぉおお!」と興奮して叫んでいた赤髪の兄ちゃん、あんたスゲえよ。

・無敵バンド

最終日は出演してないGLAYのメンバー全員が駆けつけるというサプライズ。その上で本日の出演者が一堂に会しておりました。Toshl氏とRYUICHI氏とTERU氏の3人をこんな形でみることができるとはね。また、清春先生と坂下たけとも氏のやり取りに驚きを覚えたり。無敵バンドで演奏した2曲はいずれもピストルズの曲でしたが、一夜限りの夢の共演を全員が全員、楽しんでいましたね。兎にも角にも自分はここまできっちりと見られて良かったです。

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 不安だらけのVJSでしたが、終了時刻が1時間45分ぐらい遅くなったことは覚悟していたとはいえ、せめてもっと対策してほしかった。yahoo知恵袋にも回答はないだろうけど(汗)。

 フェス自体は、ほぼ空き時間がなくライヴが始まるし、若手からレジェンドまで出るし、ベテランたちのイチャイチャが見れるしで概ね満足です。今回は初めて見る若手(特に予習もせずに自分は見ました)が多かったのですが、こういう機会じゃないとあまり触れることはなかったので、VJSには感謝しています。この規模のお客さんが集まるフェスに若手のヴィジュアル系バンドはなかなか出られないし、彼等にとっても貴重なものになったでしょうね。

 「ヴィジュアル系が胸を張って好きだといえるようにまたしたい」と逹瑯氏がMCで言ってたと思いますが、僕は今回足を運んでみて好きで良かったなというのは実感。ヴィジュアル系という特殊な世界、1日だけとは言え本当に濃ゆい体験となりました。っていうかこの日だけでもX JAPANからゴールデンボンバーまで幅広い音楽性/スタイルの人達がいたわけですからね。あのバンドがいないとかあの事務所の人達がいないとかもあったわけですが、次回開催されるならば、さらにパワーアップして開催して欲しいものです。そのときにX JAPANのアルバムは・・・出てないよな(苦笑)。

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噂のYOSHIKITTYとYOSHI木が見れて震える。

お読みいただきありがとうございました!
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