スクリーモの救世主としてシーンに登場し、ここ日本でもかなりの人気を誇るストーリー・オブ・ザ・イヤー。去年、東京でしか行われなかったTaste of Chaosにて来日したばっかじゃないかという話もありますが、それは東京での話で名古屋では約3年振りとなるライブです。
ライブの最中にも彼等自身が発言していましたが、名古屋では通算4度目となる公演。SOLD OUTを記録した2006年の公演に引き続いての大入りとはなりませんでしたが、本日も待ちわびた人々の数は満杯近くまでふくれ上がっていました。
オープニングアクトのマイ・ラスト・フォールのフレッシュな演奏の約30分後に、ストーリー・オブ・ザ・イヤーのメンバーがBGMにのって颯爽と登場。始まりは代表曲のひとつである「And the Hero Will Drown」で早くもわれんばかりの歓声と数多くの拳が突きあがり、会場は沸騰寸前。
続いてストレートなパンクサウンドが気持ちいい”Falling Down”でさらなる興奮を誘う。弾けるような躍動感、突き抜けるような昂揚、自然と体を動かす強烈な衝動。これぞSOTYのライブ。とりわけライブにおいてのサウンド面の筋肉増強っぷりが凄く、骨太いリズム隊のゴリゴリ感が地鳴りのように響きます。
CDではもっとパンキッシュなノリがあるように感じますが、ライブだとかなりラウドな演奏になるのが特徴的。頭空っぽにして暴れまわることができるのは爽快。フロアの真ん中辺りで喜んでモッシュし、次々に飛んでいくダイバーが見られ、会場のうねるような盛り上がりはすごい。
4曲目に演奏された「Our Time Is Now」でも相変わらずエネルギー全開で畳み掛けてくる姿勢に圧されましたが、終盤では流麗なキーボードの音色やテクニカルなギターソロをさも当然の如く導入している辺りに、百戦錬磨のライブをくぐり抜けてきた成長を感じさせられます。
今回のライブでは初期の曲でこういったアレンジが見られてハッとさせられます。曲間のMCにしても、異国ではとりあえず下ネタで観客とのコミュニケーションを取ろうぜ!的なノリ。積極的に観客との距離を縮めようとするのも親しみやすいキャラクターにつながっています。
3年ぶりにみても彼等のライヴは鉄板。ドライブ感の強い「Take Me Back」、美メロを鳴らすイントロからサビで一気に弾ける「Wake Up」、ノリの良い疾走感が心地よい「Stereo」といった集大成的なセットには新旧ファンも納得でしょう。充実した疲労感が体に積み重なっていく。
こんな目一杯熱いステージが繰り広げられた中で最後に演奏されたのはバンド随一の名曲である「Until the Day I Die」。イントロの切なげなリフが響いた瞬間から大歓声が上がり、始めから終わりまでバンドと観客が一体となった大合唱で喜びを分かち合う結果に。さすがにこれには胸が熱くさせられました。
しかしながら、彼等のファンサービスは演奏終了後も止まらず、ヴォーカルのダンは最前列にいた観客と時間が許す限りのハイタッチを繰り返し、陽気な笑顔を咲かせていました。そここまでライブの楽しさを本気で伝えてくれるスクリーモ・バンドだからこそ彼等は愛され続けている。
— set list —
01. And the Hero Will Drown
02. Falling Down
03. The Antidote
04. Our Time Is Now
05. Anthem of Our Dying Day
06. Take Me Back
07. The Black Swan
08. Wake Up
09. Canonball
10. Stereo
11. Choose Your fate
12. Sidewalks
13. In the Shadows
14. “Is This My Fate,” He Asked Them
— encore —
15. Welcome To Our New War
16. Until the Day I Die