【作品紹介】Barrens『Corpse Lights』

 元Scraps of Tapeの2名(Kenneth Jansson、Johan G Winther)にライヴ・ドラマーのMarkku Hildénを加えたインスト3人組。スウェーデンを拠点に2018年より始動。Messedmagのインタビューによると、2018年にScraps of Tapeのヨーロッパ&中国ツアーにMarkkuが参加したことで親交が深まり、Scraps~が活動休止したこともあいまって新たなプロジェクトとして活動することになった。

 Mogwaiのオープニング、God is an Astronautのツアーサポート、2023年にはArcTanGentのメインステージに出演するなど。

 本記事は2025年9月にリリースされた2ndアルバム『Corpse Lights』について書いています。

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作品紹介

Corpse Lights(2025)

 2ndアルバム。全8曲約42分収録。デビュー作に引き続いてPelagic Recordsからのリリースで、Kristofer Jönsonによるプロデュース、Magnus Lindberg(Cult of Luna)によるミックス&マスタリングも継続。タイトルの『Corpse Lights』は、死期が迫った者の家の近くに小さな色とりどりの光が現れ、その者を最終的な安息の地へと導くという民間信仰を指す名称。

 Barrensはメンバー全員が25年ほどのキャリアを持つ3人だけあって、強くてニューゲームをやっているバンドといえます。前身のScraps of Tapeはかの残響レコードから国内盤が発売されてました(07年の2ndアルバム、わたしは当時買っています)。

 本作は完全インストゥルメンタルで、強度の高いリズム隊を基盤においてギターやシンセサイザーを主体に進行。以前のキャリアよりもエレクトロニックな質感を加えたいという意向がBarrensにはあったとのこと。しかしながらフィジカルに強みがあるタイプで、例えるならGod is an AstronautとRussian Circlesが3:7辺りの割合のサウンドに感じます。

 #2「The Derelict」や#6「No Light」はポストメタルにも連なる重厚さと緊張感が支配。一方で控えめなシンセの装飾から徐々に壮大に開けていく#4「Periastron」、ミニマルなリズムのアプローチから彩色を施していき、最も強烈なラストを迎える#7「Collapsar」といった曲がメランコリックな側面を引き受けている。けれども甘くなりすぎることもなく、過剰演出になることもなく。玄人好みの味付けが効いている。

 轟音系ポストロックの静動クレッシェンド構造はあまり用いておらず、1曲満足カタルシスよりも全体を通して様々なムードへと向かいます。バンドは光と闇の二次元を意識しているようですが、その両極を行き来しながら、力強さと煌びやかさを併せ持つサウンドを展開。ラストを飾る#9「A Nothing Expands」は特にそれが表れている。

メインアーティスト:Barrens
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