
ドイツ・カールスルーエ出身の4人組。もともとは2014~2021年まで活動していたWitchfuckerというバンドのメンバーを母体にして2022年から始動。バンド名のColtaineは、カナダの小説家であるスティーヴン・エリクソンの小説シリーズ『マラザン斃れし者の書』の登場人物コルテーンに由来する(参照:Metal1.infoのインタビュー)。
本記事はこれまでに発表されているフルアルバム2作品について書いています。
作品紹介
Forgotten Ways(2024)

1stアルバム。全9曲約44分収録。黒き森の奥深くから靄がかったポストメタルは忍び寄る。Coltaineは自身についてTNT Radiorockのインタビューでこう述べています。”私たちの音楽スタイルは、ドゥームゲイズ、ポストメタル、サイケデリックな要素を融合させたものです。私たちを際立たせているのは、ダイナミックレンジの広さだと考えています。繊細で軽やかなセクションと、重く圧倒的なパートを組み合わせることを好んでいます“。
その発言を示すように#1「Mogila」からAmenraを思わせる鈍重なリフと展開を用い、後半では救いを求めるかのような繊細な歌唱が入る。そして#3「Dans Un Nouveau Monde」はバンドの表現するダイナミックなレンジを堪能できる1曲で、しめやかな前半から後半にブラックメタル風のトレモロを合図に昂まる瞬間がもたらされます。ちなみに曲名および歌詞にはドイツ語(#2、#7)、英語、ロシア語(#1)、フランス語(#3)が用いられており、作品の情緒や深みをもたらすために必要だったと話している(前述のインタビューにて)。
音楽的にはドゥームゲイズというよりかはポストメタルの方に重きが置かれ、前述したAmenraが近しく思えますが、そこまでダークさや重さは強調していない。心を惑わす鬱蒼とした雰囲気を持ちつつ、アトモスフェリックという表現があてはまる空間の淡いトーンがの方が目立つ。その上でドローン調の#2「Himmelwärts」のように時折、BIG|BRAVEっぽくなったり。どこか祈りや解放を促す感覚がある点も持ち味といえます。
おそらく森のざわめき(風やカラスの鳴き声など)をサンプリングした音の上にパーカッションやJulia Fraschの聖歌を思わせる歌声が乗る#4「Cloud Forest」は印象的な楽曲のひとつ。ちなみに彼女はOathbreaker的なグロウルも懐刀に収めており、楽曲を様々に色付けしています。
#5「Forgotten Ways」はその強烈な叫びが前半で聴けますが、後半は暗いギターの音色や亡霊のごとき声が反復する。力や重みで制圧するのではなく、巧みなアクセントと調和がキーとなっています。#7「Grace」もそうですが、雲霧林で迷い込んだが最期。簡単には抜け出せない。
Brandung(2025)

2ndアルバム。全9曲約36分収録。約1年という短いスパンでのリリース。タイトルはドイツ語で”波”を意味するようで、ジャケットもそれに沿っていると思われます。
音楽模様は1stアルバムから引き続き、太陽の恵みを受け取らずに靄がかり、人々の彷徨える心を幻想的に惑わす。前作と比べるとフォーク調の繊細なアプローチ、チェロを用いた厳かなインスト曲、儀式的なアプローチを前進させている印象はあります。
波打ち際の音のサンプリングとハミング(アカペラ?)で物語の機運を高める導入曲#1「Tiefe Wasser」を経て、#2「Memories of Ice」はそれこそ終盤に向けてOathbreakerを思わせる凶暴性を獲得していく。続く#3「Keep Me Down In The Deep」では8ビートを基調に気だるげなヴォーカルが乗っていますが、逆にシンプルすぎて目立ちます。
ちなみに本作は、1~3分台の短曲(間奏曲と言える曲もあれば、そうでない感じの曲もある)が5曲あるのが特徴のひとつ。フルアルバムという体裁を保つためという気がしないでもないのですが、密教的なニュアンスをより強めていく#5「Wirbelwind」を中心に神秘と幻想に彩られた物語を丁寧に補完している。とはいえ、あと1~2曲は本格的な楽曲が欲しかったところではありますが。
なかでも強力なのは8分近い大曲の#8「Brandung」。グロウルやブラストビートといった引き金を引くも、後半は精神をなだめるように静かな立ち回りで快復を促す。そして#9「Solar Veil」にてしんみりとするギターの独奏で作品は締めくくられます。淡い霧であっても右往左往してしまう独特さがある。
