
ウェールズ・カーディフを拠点に2017~2026年まで活動したインストゥルメンタル4人組。9年間に及ぶ活動で70回のライヴ、フルアルバム1作、EP2~3作品(シングルと呼ぶべきか分類が難しいものがある)を残す。
本記事は2026年2月にリリースされた1stアルバムにして最終作『A Token of Our Depreciation』について書いています。
作品紹介
A Token of Our Depreciation(2026)

1stアルバム。全9曲約43分収録。”これはデビュー作であり、最後のフルアルバムです。9年間で70回のライブを経て、FORTは解散することになりました。バンドとして想像以上の成果を挙げ、波乱万丈な道のりを歩んできましたが、熟考の末、メンバーそれぞれが新たな道を歩むことに決めました“とBandcampにて説明されています。
FORTはCaspian、And So I Watch You From Afar、Mogwaiを影響元にあげるインストゥルメンタルが主体。しかしながら冒頭を飾る#1「Alizarin Sea」はIf These Trees Could Talkを思わせる軽重のバランスを整えたギターを軸にした上で、エレクトロニックな装飾が入る。続く#2「Nothing Lasts~」や#3「Disintegrator」ではメタルコア寄りのリフや疾走パートが用いられており、ポストメタルと読んでも差し支えない強度を上手くミックスしています。この重量感と歯切れの良さは類型的な他バンドとの違いと言えそう。
シネマティック・インストゥルメンタルと自称する雰囲気のある楽曲も当然ながら含んでいます。6/8拍子の進行とディレイが印象的な#5「Your House Is On Fire, Yet Still Feels Like Home」、本作では唯一の鍵盤主導の楽曲でセリフサンプリングも入る#7「Ydym Ni Yno Eto?」辺りはその筆頭でしょうか。
終盤はsleepmakeswaves寄りの電子音を主体にしたスタイルが前に出てくる#8「The Future Is Not What It Used To Be」、そしてジャケットにも表されている#9「Viridian Sky」が轟音系ポストロックの酸いも甘いも示して締めくくる。すでに解体されてしまったFORTですが、9年に及んだ活動に敬意を表したく、ここに書き残します。
